The Japanese Journal of Antibiotics
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35 巻, 11 号
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  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 中島 哲也, 石本 耕治, 富永 薫 ...
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2491-2529
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    マイコプラズマ肺炎の第一選択抗生剤はMacrolide系薬剤 (MLs) のErythromycin (EM) であるが, 同じMLsのOleandomycin, Spiramycin, Kitasamycin, Josamycin, Midecamycin (MDM) も抗Mycoplasma 作用を有する1) ことから本症に使用されている。
    明治製菓株式会社で新しく開発されたMidecamycin acetate (MOM) 2, 3) は前述のMDMの誘導体であり, その化学構造式はFig.1のとおりで, Mycoplasma pneumoniaeに優れた抗菌力を有する1, 4, 5) と述べられている。
    そこで私たちは本剤を主に小児のマイコプラズマ肺炎に投与し, 腸内細菌叢への影響をみると共に, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用をEM投与例と比較検討したのでその成績を報告する。
  • 伊藤 治英, 池田 清延, 河野 寛一, 北林 正宏, 前田 優, 石瀬 淳, 二見 一也, 山本 信二郎
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2530-2534
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfbmycin (FOM) はグラム陽性菌, 陰性菌に対して広範囲の抗菌力を示し, 細菌の細胞壁Peptidoglycan合成の初期過程を阻害して殺菌効果を示し, 毒性が少なく, 他剤との交差耐性を生じ難い薬剤である。更に, FOMは分子量が小さく, 化学構造が簡単で, 蛋自結合能が小さく, 安定な薬剤であるため髄液に移行し易いと想定される。一方, 脳神経外科において中枢神経系の感染症の治療や予防に使用される抗生物質の髄液移行が有効性を決定する必要条件である。今回, 分子量の小さいFOMの髄液移行について, 髄液の体外ドレナージの機会を利用して経時的にFOM濃度を測定し有効性について検討した。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 広松 憲二, 高島 俊夫, 高木 道生
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2535-2544
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime (CMX) は武田薬品中央研究所において研究開発された新しいCephalosporin剤であり, その構造は, 7位側鎖にAminothiazolyl-methoxyiminoacetyl基を有し, 3位側鎖にはTetrazole環を有するもので, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力を示し, β-Lactamaseに安定である。
    本剤の成人における評価については, すでに第28回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウム1) において発表され, その有用性が認められている。
    小児科領域における検討も, 成人における本剤の有用性と安全性の確認のもと, 全国19施設の協同研究により開始され1その成績は第29回日本化学療法学会総会2) において報告された。
    今回, 著者らも, この研究に参加し, 本剤の基礎的並びに臨床的検討を行つたのでその成績について述べる。
  • 岡本 健治, 志野 和子, 福家 宏, 渡辺 京子, 尾崎 元
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2545-2554
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対する抗生物質のめざましい開発発展と共に, その使用頻度の増加も著しく, 結果としてPenicillfnase 産生菌やCephalosporinase産生菌の増加が指摘され, 当然これに対応すべき抗生物質の開発が必要となつてきた。
    この度, 武田薬品中央研究所で開発されたCefmenoxime (CMX) は, 7位側鎖にAminothiazolyl-mothoxyiminoacetyl基を有し, 3位側鎖にTetrazole環をもつ新しいCephalosporin系の抗生物質である。
    本剤は従来のCephalosporin系薬剤に比べて, グラム陰性桿菌に対する抗菌力が強く, 抗菌スペクトラムはSemtia, Bacteroides fragilisなどの弱毒菌まで拡大され, 又, β-Lactamaseに対しても安定で, 既存のCephalosporin耐性菌に対しても強い抗菌活性を示すことが知られている。
    すなわち, 本剤は第3世代あるいはGroup5に属するCephalosporin系抗生物質と言える1), 2)。
    今回, 著者らは小児科領域における細菌感染症に対して本剤による治療を試みたので, その臨床効果とその安全性について述べる。
  • 小林 裕, 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 筒井 孟
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2555-2568
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime (CMX) は武田薬品中央研究所で創製された, 藤井1) の第5群に属する新Cephalosporin剤で, 腸球菌, 緑色連鎖球菌以外の各種細菌にこ広く抗菌力を有し, β-Lactamaseに安定で, その成人領域における検討成績は, 第28回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムにおいて討議され, 有用性, 安全性が認められた2)。小児科領域においては, 本剤の幼若動物に対する安全性が確かめられた段階で研究会が組織され, その成果は第29回日本化学療法学会総会に報告された3)。われわれもその一員として基礎的, 臨床的検討を行い, 若干の知見を得允ので報告する。
  • 関口 隆憲, 宮尾 益英, 古川 民喪, 宇山 祐子, 水井 三雄, 田中 弘
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2570-2577
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用Cephalosporin (CEP8) 系抗生物質であるCefmenoxime (CMX, Fig, 1) はダラム陰性桿菌に対して既存のCEPs系注射剤に比べ更に抗菌力が強く, 抗菌スペクトラムはSerratia, Bacteroidesfragilisまで拡大され, Streptococcus pneumoniae, Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Indole陽性Proteus, Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacterに対する抗菌活性がinvitro, in vivoとも優れている。又β-Lactamaseに対しても安定で既存CEPs耐性菌に対しても強い抗菌活性を示すといわれている1)。
    今回, われわれは小児科領域における細菌感染患者に本剤を使用する機会を得たので, 臨床的検討と若干の基礎的検討を行つたので報告する。
  • 倉繁 隆信, 脇口 宏, 喜多村 勇, 尾崎 寛, 西林 洋平, 浜脇 光範
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2579-2588
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmen6xime (CMX) は, 武田薬品中央研究所によつて合成された新しい注射用セファロスポリン剤である。
    CMXは, 従来の同系抗生剤に比して, EscherichiacoLi, Klebsiella meumoniae, Proteus mirabilisi等のグラム蔭性菌に対する抗菌活性がin vitro, in vivo とも優れ, 抗菌スペクトラムも, Haemophilusinfluenzae, Enterobacter, Citrobacter, Indole 陽性 Proteus, Serratia及び嫌気性菌にまで拡大されている1~3)。
    本剤については, すでに成人での臨床評価が検討され, 有効且つ安全であることが確認されている4)。
    しかし, 小児科領域における臨床評価は, 十分な検討がなされておらず, 報告がみられない。今回, 著者らは, CMXを各種小児感染症の治療に使用する機会を得たので報告する。
  • 岡田 隆滋, 古川 正強
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2589-2598
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime (CMX) は武田薬品中央研究所で新しく開発されだCebhalosporin系抗生物質で化学構造上, 7位側鎖にAminothiazolyl-methoxyiminoacetyl基を有し3位側鎖にはTetrazole環を有している (Fig.1)。
    本剤はグラム陰性桿菌に対する抗菌力は強く, 既存のCephalosporin系抗生物質では抗菌力が弱かつたインドール陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, Citrobacter, Haemophilus influenzaeや嫌気性菌などに強い抗菌力を有する。
    又, β-Lactamaseに対しても安定で既存のCepha-10sporin耐性菌に対しても抗菌力を示す1)。
    今回, われわれは本剤を臨床的に使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 中島 哲也, 石本 耕治, 富永 薫 ...
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2599-2614
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime (CMX) は武田薬品工業株式会社中央研究所で開発された新しい注射用Cephem系抗生物質で, その化学名は7β-[2-(2-Aminothiazol-4-y1)-(Z)-2-methoxyiminoacetamido]-3-(1-methy1-1Pnetrazo1-5-yl) thiomethyl] ceph-3-em4-carboxylic acidhemihydrochlorideと称し, 構造式はFig.1に示すとおりである。
    本剤は広域抗菌スペクトルを有し, グラム陰性桿菌に対し特に抗菌力が強いが, グラム陽性球菌であるStreptococcus pyogenes, Sirepiococcus pneumoniaeにも優れた抗菌作用を示し1~3, 11) β-Lactamaseに対しても安定1, 4) で, 1980年の第28回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムで成人における有用性が論じられた。
    私たちは本剤を小児に投与し, 血漿中, 尿中濃度及び回収率, 血漿中及び尿中の代謝物と推定される脱テトラゾール体であるDeacetyl cefotaxime (D-CTX) 及び髄液, 脳室穿刺液中濃度を測定, 種々の細菌感染症における臨床, 細菌学的効果及び副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 1982 年 35 巻 11 号 p. 2615-2619
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 常盤 知宣, 三好 幸二, 高橋 響, 宇田 文昭
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2620-2628
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品工業株式会社において開発されたCePhalosPorin系抗生物質であり, 次のような構造式を有する。
    本剤の毒性については, ラット, イヌ, サル等を用いた亜急性毒性あるいは慢性毒性の試験が行われており, その最大無毒性量が100-300mg/kg/dayであると綴告されている1, 2)。
    著者らは, 本剤の授乳期幼若動物に対する毒性を調べるため, 3週令ビーグル犬を用いて5週間皮下投与による亜急性毒性試験を行い, 対照薬Cofazolin (CEZ) との比較検討を行つた*。
  • 青山 隆蔵, 柿崎 良樹, 大西 彬, 泉 幸雄, 黒沼 忠由樹, 野村 由美子
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2629-2632
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品中央研究所が開発した緑膿菌に対して極めて強い抗菌力を有するCephalosporin系抗生物質である。本剤は緑膿菌の産生するβ-lactamaseに対して安定であり1) Gentamicin (GM) 耐性株にも抗菌作用を有する2)。臨床的にも呼吸器感染症や尿路感染症を含む種々の緑膿菌感染症に優れた効果が認められている3)。
    今回われわれは小児緑膿菌感染症に本剤を使用する機会を得たので臨床成績を報告し, 又, 2例で吸入投与を試みたので, 喀疲中濃度測定結果を含め報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 中沢 進一, 近岡 秀次郎, 田添 克衛
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2633-2638
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品工業中央研究所で開発された特に緑膿菌に感性な特徴を有する新Cephem系注射用抗生剤であり, 緑膿菌に対するMICは従来本菌感染症の治療に使用されていたアミノ配糖体 (AGS) 系製剤 (Gentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK)) に類似し, 又, Sulbenicillin (SBPC), Carbenicillin (CBPC) 等のペニシリン (PCS) 系製剤より感性であり, GM耐性緑膿菌に対しても十分な抗菌性を発揮する点も証明されている。筋注並びに静注として使用されるが, 注射後血中, 尿中その他の諸臓器に移行し, 各種緑膿菌感染症に使用し, 成人を対象としての各科領域における有用性はすでに多数の症例について報告されているところである1, 2)。
    今回小児を対象としての本剤に関する2, 3の検討を行つてみたので以下その概況について報告する。
  • 目黒 英典, 男沢 伸一, 小池 依子, 平岩 幹男, 橋本 剛太郎, 柱 新太郎, 藤井 良知, 高橋 章
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2639-2651
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品工業中央研究所のNOMURAらによつて開発された新合成Cephalosporin剤 (CEPs) で1, 2), 化学名, 化学式はFi2.1のとおりである。本剤の特長は既知のCEPsの中では最も優れた抗緑膿菌作用を有する点であり, その抗菌力の強さはAminoglyoosides (AGs) のそれに近く, 選択毒性も優れている。一方, 他の菌種にはほとんど抗菌力がないのも本剤の特異的な点で, Pseudomomas aemginosaだけが対象となる。
    CFSの実験動物における急性, 亜急性及び慢性毒性試験においてその安全性が確認され3, 4), 成人における臨床評価も行われ, その安全性, 有効性が報告されている5)。われわれは小児におけるCFSの安全性並びに緑膿菌感染症における有効性について検討したので報告する。
  • 秋田 博伸, 岩田 敏, 岩崎 由紀夫, 金光 岳文, 服部 春木, 城崎 慶治, 堀田 昌宏, 山下 直哉, 南里 清一郎, 砂川 慶介, ...
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2652-2656
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 緑膿菌感染症は感染症の内でも重要な位置を占め, その治療に有効な抗生剤としてGentamicin (GM), Dibekacin (DKB), Tobramycin (TOB) あるいはAmikacin (AMK) などのアミノ配糖体系薬剤とCarbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) あるいはPiperacillin (PIPC) などの合成ペニシリン系薬剤が使用されている。しかし, アミノ配糖体系薬剤は腎毒性, 聴力障害等の副作用のため, その使用には制限があり, 特に重症化し易い緑膿菌感染症では使用しにくい。一方, 合成ペニシリン系薬剤は副作用は少ないが, その大部分は抗菌力が弱く, 大量投与が要求される。そのためこれらの欠点を補う新しい薬剤の開発が待たれていた。
    新しく開発されたCefsulodin (CFS) はCephalosporin系薬剤であり, 副作用が少なく且つ, 抗緑膿菌作用はアミノ配糖体系薬剤と同程度で, 合成ペニシリン系薬剤より強力であると諸家ら1~4) が報告している。そのため緑膿菌感染治療において本剤の使用が注目されている。今回, 小児科領域で本剤の基礎的, 臨床的検討を行う機会を得て, 若干の考察を加えたので報告する。
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 黒須 義宇, 堀 誠, 弘岡 順子, 横井 茂夫, 木谷 信行, 高橋 孝行, 西山 博高
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2657-2675
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児領域においても, Pseudomonas aeruginosaが起因菌となる重症感染は, 新生児, 未熟児の様な幼若小児の場合, 又, 年長児においても, 種々の基礎疾患, 例えば血液疾患, 悪性腫瘍, 先天性免疫不全症, 重症心身障害などをもつ場合, 更に, 熱傷, 外傷, 手術後の創面の2次感染症においては, 決して希ではなく, 初期治療薬の選択は非常に困難であり, 予後も不良であることが多い。
    緑膿菌に対して有効な薬剤としては, Gentamicin (GM), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK), 及びTobramycin (TOB) などのアミノ配糖体系薬剤, Colistin (CL), PolymyxinBのようなPolypeptides系薬剤そして, Carbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC), ApalciliinあるいはPiperacillin (PIPC) などの合成Penicillin系薬剤などが開発され, 選択的に使用されている。アミノ配糖体系薬剤は, 最も信頼し得る薬剤ではあるが, 周知の様に高い血清中濃度を示す際には腎障害, 聴神経障害をおこし, 本邦では, 筋肉内投与だけが適応とされている。現在, アミノ配糖体系薬剤の点滴静注時の薬動力学的解析がなされつつあるが, その臨床使用は確立されておらず, 小児科領域においては, 筋硬縮症の問題もあり, アミノ配糖体系薬剤の使用は, 比較的困難と思われる。又, Penicillin系薬剤は, 一般に低毒性ではあるが, 大量に使用しても効力が弱い難点がある。
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品工業中央研究所で開発された新しいCePhalosPorin剤であり, 化学名は3-(4-Carbamoy1-1-pyridiniomethyi)-7β-(D-α-sulfophenylacetamido)-ceph-3-em-4-carboxylatemonosodiumsaltであり, Cephalosporanic acid母核の7位にSBPCと同じSulfophenylacetamido基を有している。
    本剤の特徴は, 従来のCephalosporin系薬剤が有効な抗菌力を保持していなかつたP.aeruginosaに対してもアミノ配糖体系薬剤とほぼ同様の抗菌力を持ち1, 2), これらと交叉耐性を示さないと言われ, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに強い抵抗性を持ち, 体内動態では, ほとんど代謝を受けずに, 尿に排泄される点にある。
    今回, われわれはCFSを使用する機会を得たので, 本剤について, 抗菌力, 血清中濃度などの基礎的研究を行うと共に, 緑膿菌感染症に使用したので, それらの成績について報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 鈴木 正敏
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2676-2682
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は, 武田薬品工業中央研究所で開発された新しいCephalosporin剤で, 化学名は3-(4-Carbamoy1-1-pyridiniomethyl)-7β-(D-α-sulfophenylacetamido)-ceph-3-em4-carboxylate monosodium salt, 分子式はC22H19N4O8S2Na, 分子量は554.52であり, 化学構造上, 7位の側鎖はSulbeniCillin (SBPC) と同じ, 又, 3位の側鎖はCephaloridine (CER) と類似している1)。
    抗緑膿菌剤としてはすでにアミノ配糖体系抗生物質としてGentamicin (GM), Amikacin (AMK), Dibekacin (DKB) があり, ペニシリン系抗生物質ではCarbenicillin (CBPC), SBPCなどがあるが, CFSはCephalosporin系抗生物質としては最初の抗緑膿菌剤である。その特徴として緑膿菌に対し特異的に殺菌性抗菌作用を示し, 抗菌力はアミノ配糖体系抗生物質とほぼ同等で, SBPC, CBPCより10倍以上強く, 且つアミノ配糖体系抗生物質耐性の緑膿菌に対しても強い抗菌力がある2)。しかしその他の菌種に対する抗菌力はさほど強くない。又体内代謝ではほとんど不活化されず, 腎から高濃度に尿中に排泄される。
    成人領域における本剤の基礎的研究並びに臨床使用成績は, 第26回日本化学療法学会総会 (1978年) 3) において, 又比較対照臨床試験成績4) でもその緑膿菌感染症に対する有効性と安全性が確認された。
    今回, われわれは本剤を小児科領域の緑膿菌感染症に使用する機会を得たので, 血中濃度並びに尿中排泄を測定し, 又3例の緑膿菌感染症に使用した臨床効果について報告する。
  • 柳沢 公二, 柳沢 啓子, 保科 弘毅, 市橋 治雄
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2683-2687
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品中央研究所で開発された最初のセファロスポリン系抗緑膿菌剤で, その化学構造式はFig.1のように表される。抗緑膿菌作用は, in vitroで強い抗菌力と殺菌作用を示し, その強さはSulbenicillin (SBPC), Carbenicillin (CBPC) よりも一段と強く, アミノ配糖体系抗生剤とほぼ同等で, 且つアミノ配糖体系抗生剤と交叉耐性がなく, アミノ配糖体系抗生剤耐性緑膿菌に対しても強い抗菌活性を示す。又緑膿菌の産生するβ-Lactamaseに対しても安定であり, 動物における吸収・排泄, 体内分布, 代謝などについて種々検討され, その安全性も確認されている1)。われわれは今回, CFSを基礎疾患を有するため感染を繰返し, しかもこれに緑膿菌が関与している難治性小児感染症3例に用い, その臨床効果及び有用性を検討したので報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 溝口 文子, 中村 はるひ
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2688-2698
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は, 武田薬品工業 (株) で合成された注射用口フェム系抗生物質である。本剤は緑膿菌に対して特異的に強い抗菌力を有し, その強さはSulbenicillin (SBPC) やCarbenicillin (CBPC) よりも優れ, Gentamicin (GM), Dibekacin (DKB) にほぼ匹酢し, 且つGM耐性墓に対しても感受性菌と同程度の抗菌活性を示すのが特徴とされている1-8)。一方, 静注により高い血清中濃度が得られ, 生体内で不活化されることなく, 主として腎を介して排泄されると言われている4)。すでに成人領域では, 基礎的, 臨床的検討が終了し, その有効性と安全性については高く評価されている4)。
    今回, われわれは未剤の小児科領域における検討を行つたので, その成績を輯告する。
  • 西村 忠史, 高島 俊夫, 広松 憲二, 田吹 和雄
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2699-2707
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の抗生物質の発見, 開発により細菌感染症に対する治療は一段と進歩し, セファロスポリン系抗生物質の出現は, 感染症治療の内容に一層の充実性をもたらした。しかし, 近年細菌感染症も疾患によつては難治性の傾向が強くなり, そこには宿主条件が加わり, 更に病因微生物にも多くの変化がみられている。さて, Pseudoponas aeruginosaは従来毒性が乏しいとされていたが, 今日Opportunistic pathogenとして重視され, 重症感染症は, いわゆるCompromised hostにおいて多く発症している。さて, 従来P. aeruginosaに有効抗生物質として, Gentamicin (GM), Dibekacin, Tobramycin (TOB) などのアミノ配糖体系抗生物質, 又Sulbenicillin (SBPC), Carbenicillin (CBPC) などのペニシリン系抗生物質が主に使用されて来た。しかしアミノ配糖体系抗生物質は筋注製剤であり小児科領域ではその使用も制限され, 且つ腎及び聴器毒性のため長期使用には問題があつた。一方CBPC, SBPCは低毒性ではあるが, 抗菌力に問題があり, MICも高く, 従つて大量投与という治療方式がとられて来た。いわんや今日これら薬剤に対する耐性菌の増加が指摘されるに及んで新たな薬剤の出現がつよく望まれていた。
    今度, 抗緑膿菌セファロスポリン系抗生物質として開発されたCefsulodin (CFS)(3-(4-Carbamoyl4-pyridiniomethyl)。7β-(D-α-sulfbphenylacetamido)-ceph-3-em-4-carboxylatemonosodium salt) は, 下記のような構造式をもち, 既存のセファロスポリン系抗生物質にみられなかつた極めて強い抗緑膿菌作用を示すが, 他の菌種にはほとんど抗菌力を持たない所謂狭域性としての特徴を有している。本剤は殺菌的に作用し, 緑膿菌に対する抗菌力はCBPC, SBPCより優れ, 抗緑膿菌性アミノ配糖体系抗生物質と同程度である。そして, それらの耐性菌にも抗菌力を示し, 一般毒性も既存のセファロスポリン系抗生物質とほとんど変らないと言われている1, 2, 4-6)。
    今回著者らはCFSの基礎的並びに臨床的検討を行う機会を得たので, その成績について述べる。
  • 岡本 健治, 志野 和子, 福家 宏, 渡辺 京子, 尾崎 元
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2708-2712
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は, 武田薬品中央研究所で開発された半合成セファロスポリン系抗生物質で, 7位側鎖はSulbenicillin (SBPC) と同じ, 3位側鎖はCophaloridino (CER) と類似している。
    本剤は, 従来のセファロスポリン系抗生物質に見られない細菌学的な特徴として, 緑膿菌に対して強い抗菌力を持つことである。その強さはアミノ配糖体系抗生物質とほぼ同等で, アミノ配糖体系抗生物質耐性の緑膿菌に対しても強い抗菌力を示す。又, 各種細菌の産生するペニシリナーゼ, セファロスポリナーゼに対して極めて安定であり, β-Lactamaseに対して強い抵抗性を持つている。すなわち, 本剤は第5群に属するセファロスポリン系抗生物質と言える。
  • 小林 裕, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦
    1982 年 35 巻 11 号 p. 2713-2720
    発行日: 1982/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は武田薬品中央研究所において開発された新Cephalosporin剤であるが, Pseudopoms aeruginosaに対してアミノ配糖体剤なみの強い抗菌力を持ち, しかも他の細菌, 特にグラム陰性桿菌に対してみるベき抗菌力を示さないという特異性を有する1)。最近開発されたCephem剤は優れた抗菌作用を示すが, すべて広域であり, 本剤が今日の化学療法においてどのような役割を演じるかは, 広域剤と狭城剤の問題と絡んで, 極めて興味のあるところである。
    本剤の成人領域における検討成績は, 第26回日本化学療法学会総会において, 新薬シンポジウムとして討議され, その安全性と緑膿菌感染症に対する有用性が認められた1)。本剤は小児科領域においても重要な意義を持つと考えられるので, 幼若動物に対する安全性の検討が完了した時点で小児科領域研究会が組織され, 時間をかけて基礎的, 臨床的検討が行われた。われわれもその一員として若干の知見を得たので報告する。
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