1982 年 35 巻 12 号 p. 2768-2772
Dibekacin (DKB) は梅沢ら1) によりKanamycin Bから合成された抗生剤であり, 緑膿菌をはじめ多くの耐性菌にも優れた抗菌力を示し, 臨床的にも広く用いられている。しかしその使用法に関しては他のアミノ配糖体系抗生剤と同様筋肉内投与を主とするものである。
明治製菓中央研究所の小宮ら2) のマウスを用いたDKBの生体内動態と急性毒性の関連についての実験では, 迅速静注に比較し点滴静注ではLD50値が著しく増大し, 筋注のそれに接近し, 点滴時間を適当に設定すれぽ, 筋注の場合と同様点滴静注は臨床上有用であろうと思われると報告している。
私共も健康成人ボラソティアを用いてDKBの筋注, One shot静注及び点滴静注後の血中濃度を測定し, 点滴静注法が臨床的に用い得るものであるか否かについて検討した。