The Japanese Journal of Antibiotics
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小児のヘルペス科ウィルス感染症に対するCyclocytidineの抗ウイルス効果の臨床的検討
目黒 英典荒木 和子藤井 良知米沢 弘幸東郷 知子柱 新太郎
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1982 年 35 巻 9 号 p. 2241-2248

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抄録

ヘルペス科ウイルスのうちCytomegalovirus (CMV), Varicella-zoster virus (VZV), およびHerpes simplexvirus (HSV) はOPPortunistic infbctionの1因子であり, 免疫不全状態の患者などでは重症化しやすく, 致命的となる場合もある1, 2)。正常人でも水痘肺炎, HSV脳炎, 新生児HSV感染症, 新生児全身性CMV感染症など時に重症例が経験され, 抗ウィルス療法の必要性が指摘されてきた。米国ではすでに抗ウィルス剤としてAdeninearabinoside (Ara-A, Vidarabine) が市販されて, HSV脳炎および角膜ヘルペスが適応症とされている。Ara-AはVZV感染症にも効果が認められているが, CMV感染症には期待できないようである。わが国ではCytosinearabinoside (Ara-C) などがOpenltrialとして試みられてきたが, 副作用と体内動態に欠点があり, 米国での二重盲検法では効果が確認されなかつた3)。
Ara-Cの類似物質であるCyclocytidine (Cyclo-C, Ancitabine) はAra-Cに比べて体内動態が優れ, 副作用も軽減されており, ヘルペス科ウイルスに対する抗ウィルス作用はAra-Cよりやや優れている4)。我々は以前から本剤の抗ウイルス作用に注目していたが, 臨床使用は著者らの報告を含めてわずかに散見されるにすぎない5~11)。我々はその後症例を追加して10例の小児でCyclo-Cの抗ウイルス剤としての効果と安全性について検討したので報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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