The Japanese Journal of Antibiotics
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セファゾリン耐性黄色ブドウ球菌に対するネチルマイシンの抗菌性について
笹津 備規河野 恵
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1982 年 35 巻 9 号 p. 2249-2251

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抄録

微生物感染症に対する抗生物質療法には副作用が少ないことから, β-ラクタム系抗生物質が最も多く用いられている。中でも注射用のものとしてはグラム陰性菌に強い抗菌力を発揮し, 高い血中濃度の維持と腎毒性が低いなどの理由からセファゾリン (CEZ) がわが国では多用されている。抗生物質の多用はその結果として耐性菌の出現がみられることはよく知られているが, いろいろな抗生物質に多剤耐性化し易い菌種として黄色ブドウ球菌があり, 実際にこれら黄色ブドウ球菌がCEZにも耐性化してきていることが小酒井1) により報告されている。このようなCEZ耐性黄色ブドウ球菌はアミノ配糖体抗生物質であるゲンタマイシン (GM) にも耐性化していることが中山 (私信) により指摘されている。島田ら2) はGM耐性黄色ブドウ球菌に対してはネチルマイシン (NTL) がよりすぐれた抗菌性を示し, GM中等度耐性黄色ブドウ球菌感染症に対しては, NTLの臨床効果が期待できると述べている。著者らはCEZ耐性黄色ブドウ球菌がGMにも耐性化しているかどうか, GM耐性黄色ブドウ球菌に対しNTLはすぐれた抗菌力を示すかどうかについて, 新鮮分離菌株について検討したのでここに述ベる。

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