1982 年 35 巻 9 号 p. 2252-2276
Ceftizoxime (CZX: FK-749, Epocelin (R)) は藤沢薬品工業株式会社中央研究所において開発された3位側鎖がなく, 7位Acyl基のα位にMethoxyimino基を有するCephalosporinで, 種々のβ-Lactamaseに対して安定なばかりでなく, Ia型以外のものに対しては結合親和性も低く, 将来にわたりβ-Lactamase産生菌に対する有効な治療薬であると期待される1)。
CZXは広い抗菌スペクトルを有し, グラム陰性桿菌に対しては, Escherichia coli, Klebsiella, Proteus mirabilisなどに対してはもちろん従来のCephalosporin剤では抗菌力が弱かつたHaemophilus influenzae, Indole陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, CitrobacterやBacteroides fragilisをはじめとする嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示す2, 3)。
今回CZXについて検討する機会を得たので, CZX1g, 1時間点滴静注時の女性性器組織への移行, 女性性器感染症分離菌に対するCZXの抗菌力および数例の臨床例に本剤を使用した成績について報告する。