The Japanese Journal of Antibiotics
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CephapirinとCephalothinの静脈内投与による副作用の比較
静脈炎を中心として
渡辺 彰大泉 耕太郎今野 淳
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1983 年 36 巻 12 号 p. 3395-3398

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抄録

近年抗生物質の進歩は特にセフェム系抗生物質において著しく, いわゆる第2, 第3世代と言われる一連の薬剤が実用化されるに至つている。しかしながらこれらの薬剤は全般的にグラム陽性球菌に対する抗菌力がいわゆる第1世代の薬剤より劣つており, 又副作用が多い傾向もみられる。一方, 私共が研究対象としている呼吸器感染症の起炎菌の傾向として次第にグラム陰性桿菌が増加しつつあるもめの依然としてブドウ球菌, 肺炎球菌等のグラム陽性球菌の比率は高く, 又新世代薬剤の使用量の増加に伴つて再び増加する傾向もみられる。従つて呼吸器感染症に対する第1世代の薬剤の価値は依然として高く, 今後も大きぐ低下することはないと考えられる。第1世代の薬剤の中でもCephapirin (CEPR) はCephalothin (CET) と比較して副作用, 特に静脈内投与の際の静脈炎の発現比率が低いとされている1~4)。しかしながら, これらの成績の多くは重症感染症症例での広域合成ペニシリンやアミノ配糖体系抗生物質との併用によるものが主であり, 単独投与による成績は少ない。今回, 私共は中等症を中心とする呼吸器感染症を主な対象として単独投与によるCEPRとCETとの静脈内投与による副作用発現比較試験を行い, 特に静脈炎を中心として副作用の解析を行つたので以下に報告する。

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