The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefotetan の耳鼻咽喉科領域組織への移行性について
藤巻 豊河村 正三杉田 麟也
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1983 年 36 巻 6 号 p. 1317-1324

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抄録

耳鼻咽喉科領域での感染症に抗生剤を投与する際, その抗菌力, 抗菌スペクトルと共に耳鼻咽喉科領域の病巣組織内濃度及び膿汁中への移行が問題となる。
一般に, 抗生剤の使用にあたつては, 投与指標として, 抗生剤の血中濃度, 検出菌に対する最小発育阻止濃度 (MIC) 等を参考とすることが多く, 目的とする病巣へどの程度抗生剤が移行するかはいくつかの抗生剤を除いて未だ報告1~6) が少ない。
われわれは新しいCephamycin系抗生物質であるCefotetan (CTT) を用いて, 口蓋扁桃, 上顎洞粘膜, 上顎のう胞壁, 上顎洞貯留液, 上顎のう胞内容液, 耳漏, 唾液内濃度を測定し, 耳鼻咽喉科領域での有用性につき検討した。
なおCTTは山之内製薬 (株) 中央研究所において開発され, 以下の特徴を有している15)。
1. 各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対し極めて安定である。
2. 従来のCephamycin系抗生物質に比べ, インドール陽性Proteus, Citrobacter, Enterobacter, Serratia等のグラム陰性菌に対して特に優れた抗菌力を有する。
3. ヒトに静脈内投与した場合の血中濃度は, 従来のCephalosporin系抗生物質より持続的である。

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