The Japanese Journal of Antibiotics
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小児呼吸器感染症におけるAmpicillin坐剤 (KS-R1) の検討
岩井 直一佐々木 明種田 陽一溝口 文子中村 はるひ
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1983 年 36 巻 7 号 p. 1851-1862

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抄録

KS-R 1は, 住友化学工業 (株) と京都薬品工業 (株) で新たに開発されたAmpicillin (ABPC) 含有の坐剤である1)。抗生物質坐剤については, すでにErythromycinの坐剤が市販されているが, 小児科領域では, 従来からβ-Lactam系抗生剤についての開発が強く望まれてきた。しかし, 基剤等の改良にもかかわらず, 薬物そのものの刺激や組織液の移動によつておこる排出と言う問題点をどうしても解決できなかつた。本剤は, 基剤の中にカプリン酸ナトリウムを加えることにより, ABPCの吸収を良くし, しかも排出を少なくさせることに成功した製剤である1)。
本剤肛入後の吸収は極めて速やかであり, 同一量のABPCを内服させた場合に比べて, 約4倍高い血清濃度ピーク値が得られると言われている1)。従つて, 本剤は, 種々の理由で内服できない場合や静脈注射が困難な症例には, 内服剤や注射剤に代り得るABPC製剤として, 極めて有用であると考えられる。
今回, 我々は本剤について, 小児における吸収・排泄を検討すると共に, 呼吸器系感染症に対する臨床評価を試みたので, その成績を報告する

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