抄録
Cefotetan (CTT) は, 山之内製薬中央研究所において開発された新しいCephamycin系抗生物質であり, Fig.1に示す化学構造を有する。
本剤の細菌学的な特徴としてはβ-Lactamaseに対し極めて安定なことで, 特に従来のCephamycin系抗生物質に比べ, インドール陽性Proteus, Citrobacter, Enterobacter, Serratia 等のグラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有することである。又, 体内動態では血中濃度が長時間持続し, ヒトに静注した場合の血中半減期が約3時間と, 従来のCephem系抗生物質の中で最も持続的であることを特徴としている1~3)。
本剤の基礎的臨床的成績については, 昭和55年12月の第28回日本化学療法学会西日本支部総会の新薬シンポジウムにおいて評価された1)。今回, われわれは, 本剤の婦人性器感染症に対する有用性を検討することを目的として, 全国的規模の研究会を組織し, 基礎的, 臨床的研究を行つたのでその成績を報告する。