The Japanese Journal of Antibiotics
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呼吸器感染症に対するCefbxitinの使用経験
二木 芳人吉田 直之原 宏紀副島 林造
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1984 年 37 巻 1 号 p. 97-103

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抄録

Cefbxitin(CFX)は, いわゆる第2世代に属するCephamycin系抗生物質であり, 主としてグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有し, 更に嫌気性菌に対しても優れた抗菌力が認められている1-3)。本剤はCephamycin系抗生物質に共通の強いβ-Lactamase抵抗性を示し, 本剤以降開発された新しい各種Cephem系抗生物質にも勝るとも劣らぬものと考えられる。しかしながらCFXは同系統のCephamycin系抗生物質であるCefmetazole(CMZ)に比べ最高血清中濃度や血清中濃度の持続性が劣っているようであり4), この点で臨床使用に際して若干の工夫が必要になってくる。
近年, 各医療施設や検査機関の細菌学的検査技術の向上に伴い, 各種検体からの嫌気性菌の分離率は上昇傾向を示しており, 呼吸器感染症も例外ではない。CFXは特にBacteroides属に対してCMZを上回る抗菌活性を示し, その抗菌スペクトルから考えれば, これら嫌気性菌の単独もしくは好気性菌との混合感染の疑われる呼吸器感染症に対しても第1次選択剤として十分に効果の期待できるものであると考えられる。今回我々は呼吸器感染症9例に本剤を使用する機会を得たので, その臨床成績について報告する。

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