The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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37 巻, 1 号
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  • 岡村 州博, 中岫 正明, 山田 和徳, 古川 和美, 佐藤 章, 永井 宏, 古賀 詔子, 五十嵐 章, 中川 公夫
    1984 年 37 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国Glaxo社で開発された非経口セファロスポリン剤である。広範囲な抗菌スペクトラムを持ち, 特に緑膿菌を含めたグラム陰性菌に対し優れた抗菌力を示す。
    又, β-Lactamaseに対し極あて安定であり, その作用は殺菌的である。動物実験における腎毒性を含めた安全性はCephalothinとほぼ同等であつた1~4)。
    今回, われわれは婦人科領域の炎症性疾患を有する患者にCAZを投与する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 小原 達也, 松井 幸雄, 水谷 敏郎, 野田 正和
    1984 年 37 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国Glaxo社で開発された新しいCephalosporin系抗生物質であり, 図1に示す化学構造を有し, グラム陰性菌, 特にPgeudomonas aeruginosaをはじめとするブドウ糖非発酵菌, Serratia等に対し強い抗菌力を示し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseにも極めて安定である等の特長を有している1, 2)。
    今回, 著者らはCAZの女性性器内濃度, 子宮頸癌術後骨盤死腔液中濃度及び静脈血清中濃度を検討すると共に, 産婦人科領域における感染症4例に本剤を投与し, 臨床的検討を加えたのでその結果を報告する。
  • 二宮 敬宇, 吉本 淑子, 長谷川 幸生
    1984 年 37 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラクソ社で開発された新しい注射用Cephalosporin剤であるCeftazidime (CAZ) は抗菌スペクトラムが広く, Pseudomonas aeruginosaにはCefsulodin (CFS) より優れた抗菌力を持つている。又, β-Lactamase産生株にも強い抗菌力を示す1)。本剤の基礎的・臨床的評価は第30回日本化学療法学会総会 (昭和57年, 東京) においてなされている。その後, 産婦人科領域における評価を目的として本剤の研究会 (代表高瀬善次郎) が組織された。著者らも本研究会にて, 本剤の基礎的・臨床的検討を加える機会を得たので報告する。
  • 伊藤 邦彦, 近藤 英明, 早崎 源基, 野田 克已
    1984 年 37 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) はグラクソ社で開発された新しいCephem系の注射用抗生物質で, その構造は, Fi9. 1のとおりである。
    本剤は, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定で, Cephem系抗生物質の中でも抗菌スペクトルが広域であり, なかでもみPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌力を示す。又, 各種細菌に対する本剤の抗菌力は, 他剤に比べ平均しており, 混合感染に対しても優れた防禦効果を示す1)。
    われわれは, すでに各種のβ-Lactam系抗生物質の婦人性器内移行について検討を行つてきた2~5)。そして, それからの成績が産婦人科領域の各種感染症における薬剤投与量を決定するのに重要な指標の1つであると考えられる。
    今回, われわれは, CAZについて検討する機会を得たので, 骨盤死腔浸出液への移行性を検討し, その成績を報告する。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 金尾 昌明, 岡田 弘二
    1984 年 37 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しい半合成セフェム系抗生物質である。本剤はFig.1に示すように7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を, 又3位側鎖にPyridineを有している。
    本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に対し広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にSerratia,Pseudomonas aeruginosaを含むブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に対しても強い抗菌作用を示す。
    又, 本剤はBacteroides fragilisの産生するβ-Lactamaseに対してはやや不安定ではあるが, 腸内細菌及びP.aeruginosaの産生するβ-Lactamaseに対しては極めて安定である。
    本剤をヒトに静脈内投与した場合の血中半減期は約90~100分であり, 又体内では代謝を受けることなく未変化体のまま大部分が尿中に排泄される1)。
    今回, われわれは産婦人科領域における本剤の基礎的検討, 並びに臨床的有効性, 安全性を検討する機会を得たので報告する。
  • 新谷 雅史, 高嶋 啓一, 小坂井 秀宣, 高山 辰男, 中西 彰, 島本 郁子, 一條 元彦
    1984 年 37 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しい注射用抗生物質で, 図1に示す構造式を持っている。
    本剤の特長は, 1.抗菌スペクトルが広域であり, なかでもPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌力を持つ, 2.各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定である, 3.静注で高い血中濃度が得られ大部分が未変化で尿中に排泄ざれる, 4.一般毒性試験, 腎毒性試験, 生殖試験, 抗原性試験並びに一般薬理試験などの検討結果から高い安全性を有する, などである1, 2)。今回著者らはCAZの産婦人科領域における体内移行性及び臨床効果につき検討し, いささかの知見を得たのでここに報告する。
  • 堀井 高久, 鈴木 宏志, 高島 陽子, 野田 起一郎
    1984 年 37 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は, 英国グラクソ社で開発されたセフェム系注射用抗生剤で, Pseudomonas aeryginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌及びSerratiaに対して強力な抗菌作用を示し, その抗菌スペクトラムが広いことを特徴としている。又, 本剤は7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazoly1carboxypropyloxyimino基, 3位側鎖にPyridineを導入し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対し安定性を増す工夫がなされている1-3)。
    本剤の構造式を図1に示す。
    今回われわれは, CAZの女性性器組織内濃度, 骨盤死腔液中濃度及び静脈血中濃度を測定し基礎的検討を行うと共に, 婦人科領域感染症患者6例に本剤を投与し臨床的検討を行つたのでその結果を報告する。
  • 青河 寛次, 山路 邦彦, 杉山 陽子
    1984 年 37 巻 1 号 p. 38-48
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime(CAZ)は,英国Glaxo社が開発したアミノチアゾール基を持つセフェム系抗生物質で, その有用性,安全性についてはすでに幾多の報告がある1)。われわれも, 本剤がSN401と呼称された時期からその臨床評価を行つてきたが, 今回は婦人体内移行並びに産婦人科感染症におけるその後の臨床成績をまとめて報告する。
  • 平林 光司, 岡田 悦子
    1984 年 37 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で新しく開発された注射用Cephem系抗生物質であり, Fig.1に示す構造式を有している。
    本剤の抗菌スペクトルは広域であり, 特にPseudomonas aemginosa,ブドウ穂非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratia等に優れた抗菌力を有することを特徴としている1)。
    今回, 我々は婦人性器各組織内へのCAZの移行を検討すると共に, 産婦人科領域における感染症20例に本剤を投与し, その臨床的効果を検討したので, ここにその結果を報告する。
  • 土光 文夫
    1984 年 37 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しいCephalosporin系の注射用抗生物質であり, 化学構造式はFig.1に示すとおりである。本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトルを有し, なかでもPseudomonas aeruginosaSerratiaに対して強い抗菌作用を示す。又, 各種細菌に対する本剤の抗菌力が他剤に比べ平均しており, in vivo実験的混合感染に対しても優れた防禦効果を示す。本剤はヒトに静脈内投与した時, 投与量に比例した高い血中濃度が得られ, 体内で代謝を受けずに未変化体のまま大部分が尿中に排泄されることなどが特徴とされている1)。今回, 本剤の産婦人科領域における基礎的検討として骨盤死腔液への移行性を, 又臨床的検討として各種感染症に対する有効性及び安全性を検討したので, それらの成績を報告する。
  • 長澤 一磨, 佐藤 卓一, 笹村 二郎, 佐藤 重美, 高沢 哲也, 安斉 栄一, 片桐 清一, 奥山 敏夫, 蓮尾 豊, 漆畑 厚, 小川 ...
    1984 年 37 巻 1 号 p. 63-87
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    骨盤内感染症は, 産婦人科領域における代表的な内性器感染症で, われわれの日常の臨床においてしばしば遭遇する疾患群であり, 臨床的には軽症な子宮内感染症から, まれには重篤な骨盤内膿瘍更には敗血性ショックにいたる種々の病型がみられている。そのほか, 外性器における感染症として, バルトリン腺膿瘍は日常比較的多くみられる疾患の1つとしてあげることができる。いずれにしても本症の急性期に対する治療法の第1選択基準としては, 広汎なSpectrumを有する化学療法剤の投与が一般的に行われるが, 近年, 化学療法として, Cephalosporin系抗生剤, Penicillin系抗生剤の使用量増加に伴い, グラム陰性桿菌の耐性化が注目されるようになり, 臨床上大きな問題を提起しつつある1)。
    今回, われわれは三共株式会社の研究陣により開発されたCephamycin系に属する新抗生物質であるCefmetazole (CMZ, Cefmetazon®)を用いて, 産婦人科領域における感染症への有用性を検討したが, 本剤は次のような著しい特徴を有している。
    1. 耐性大腸菌を含むβ-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力を有している。2. グラム陽性及び陰性菌に対して優れた抗菌力を有しており, 特にグラム陰性菌には従来のCephalosporin系抗生剤より更に強力な抗菌力を有する。3. 従来のCephalosporin系, Penicillin系抗生剤が無効な嫌気性菌Bacteroides fragilis, Indolo陽性Proteusなどにも強い抗菌力を有する。4. 生体内において代謝を受けないため尿中に高率に排泄される。5. 急性, 亜急性, 慢性毒性, 腎毒性面でもいずれも低毒性が指摘されている。
    従つて, われわれは上述の特徴などを踏まえて, 産婦人科領域の感染症を有する患者110例に臨床応用を行い, 本剤の高い有用性と優れた細菌学的効果を確認することができたのでその成績を報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄 ...
    1984 年 37 巻 1 号 p. 88-96
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児の細菌性肺炎の起炎菌は未熟児・新生児や基礎疾患を有し感染防禦能の低下している患児を除けばグラム陽性球菌ではStreptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, グラム陰性桿菌ではHaemophilus influenzaeが主である。近年H. influenzaeにはAmpicillin (ABPC)耐性菌が増加の傾向にあり問題になっているが, 今日S. aureusもABPCは接種菌量を106 cells/mlとした場合MIC25mcg/ml以上を耐性菌とすると, 1978年12月から1981年3月の臨床分離株で17. 7%, 1981年の分離株で22. 7%は耐性であつたと報告2, 3)されている。本菌の第1選択剤はBenzylpenicillin(PCG)に感受性の場合はPCGであるが, 耐性菌の場合にはMetbicillin, Oxacillin, Cloxacillin, DicloxacillinなどのPenicillinase耐性Penicillinか, Cephem系のCephalothin(CET)から選択されるが, CETよりもやや抗菌力が弱いcefazolin(CEZ)も用いられている。
    しかしCET及びCEZに耐性のS. aureusもある2-4)ことからこれらよりMICはやや低いがβ-Lactamaseに安定性のあるcephamycin系のCefmetazole(cMZ)を症例によつては選択しなければならないこともある。
    私たちはすでに小児科領域の重症細菌感染症であるS. aureus及びStaphylococcus epidermidisによる敗血症, 化膿性髄膜炎に対するCMZの有用性を報告したが, 今回呼吸器感染症中重篤な疾患で, ディスク感受性成績からではあるがCEZ耐性, CMZ感受性のS. aureusによる肺炎及び膿胸4例にCMZを投与し, その臨床効果, 細菌学的効果及び副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 二木 芳人, 吉田 直之, 原 宏紀, 副島 林造
    1984 年 37 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbxitin(CFX)は, いわゆる第2世代に属するCephamycin系抗生物質であり, 主としてグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有し, 更に嫌気性菌に対しても優れた抗菌力が認められている1-3)。本剤はCephamycin系抗生物質に共通の強いβ-Lactamase抵抗性を示し, 本剤以降開発された新しい各種Cephem系抗生物質にも勝るとも劣らぬものと考えられる。しかしながらCFXは同系統のCephamycin系抗生物質であるCefmetazole(CMZ)に比べ最高血清中濃度や血清中濃度の持続性が劣っているようであり4), この点で臨床使用に際して若干の工夫が必要になってくる。
    近年, 各医療施設や検査機関の細菌学的検査技術の向上に伴い, 各種検体からの嫌気性菌の分離率は上昇傾向を示しており, 呼吸器感染症も例外ではない。CFXは特にBacteroides属に対してCMZを上回る抗菌活性を示し, その抗菌スペクトルから考えれば, これら嫌気性菌の単独もしくは好気性菌との混合感染の疑われる呼吸器感染症に対しても第1次選択剤として十分に効果の期待できるものであると考えられる。今回我々は呼吸器感染症9例に本剤を使用する機会を得たので, その臨床成績について報告する。
  • 平野 裕, 渡辺 寿和, 松本 修一, 西田 茂, 深町 信介, 武 豪, 大熊 康晴, 森田 建, 古庄 康志, 石川 貞利, 宇賀神 若 ...
    1984 年 37 巻 1 号 p. 104-110
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cofbxidn (商品名: マーキシン注射用, 以下CFX) は, 米国Morck社によつてStreptomyces lactamduransが産生するCephalnycin Cの誘導体として開発された最初のCephamycin系抗生物質である(図1)。
    CFXはβ-Lactam環の7a位にMethoxy基を有するため各種細菌が産生するβ-Lactamasoに対して極めて安定であり1), 従来のCephalosporin系抗生物質に耐性のグラム陰性桿菌のうち, Escherichia coli, Klebsiella, インドール陽性Proteus, Serratia及び偏性嫌気性菌Bacteroides fragilisにも強い抗菌力を有することが報告されている2, 3)。
    今回, われわれは外科領域の感染症治療及び術後感染予防の目的にCFXを投与し, その臨床効果, 副作用について検討を行ったのでここに報告する。
  • 池本 秀雄, 大越 正秋, 真下 啓明, 中川 圭一
    1984 年 37 巻 1 号 p. 111-121
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin(MCR)は, 協和醗酵工業株式会社で発見されたアミノ配糖体系抗生物質であり, グラム陽性菌, グラム陰性菌に広範囲な抗菌スペクトルを示す1, 2)。
    又, 本剤による第8脳神経障害, 腎障害の程度は動物実験レベルでGentamicin(GM)やDibekacin(DKB)に比べて弱いことが報告されている3, 4)。
    近年, グラム陰性桿菌を中心とするOpportunistic infectionの増加に伴い, アミノ配糖体系抗生物質は重要な位置を占めるようになつている。一方, アミノ配糖体系抗生物質は, 第8脳神経障害, 腎障害などの副作用の面からその投与経路に制約があり, わが国では主に筋注投与で用いられていた。
    しかしながら, 重症感染症で1日数回の投与が必要な患者, 小児科領域での大腿四頭筋障害や更に筋注による局所部位の筋組織障害, 疼痛などにより繰返し投与することが問題となつてきている現在, 副作用を勘案した経静脈的投与法の早期確立が望まれている。
    今回, われわれは本剤の有効性と安全性を検討する目的で内科領域感染症を対象に, 点滴静注で臨床治験を行つたのでその成績について報告する。
    なお, 本試験はTable 1に示す全国30施設において, 1982年17月から1983年6月にわたつて実施された。
  • 河村 信夫, 大越 正秋, 真下 啓明, 中川 圭一
    1984 年 37 巻 1 号 p. 122-135
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノグリコシド系薬剤(以下AGs剤と略記)を経静脈的に投与する試みは, 近年しだいに広く行われつつあり, Gentamicin(GM), Tobramycin(TOB)では, かなり一般的になつてきた。これらの薬剤については, 血中濃度が迅速にモニターできることが静脈内投与が行われる有力な要因になつている。
    これらAGs剤は従来から腎障害, 聴器(第8脳神経系)障害が懸念されるが静脈内投与によりこれが増強される可能性が考えられる。一方, 大量に静脈内に与えられることにより強い抗菌力と臨床効果を期待することもできる。このような見地から, 我々は新しいAGs剤で実験動物での成績であるがGMに比べ, 腎障害, 聴器への影響が少ない1, 2)と言われている硫酸ミクロノマイシン(以下MCRと略記)を尿路感染症に対し, 静脈内投与し, その臨床効果を検討した。
  • 金丸 昭久, 永井 清保, 正岡 徹, 柴田 弘俊, 木谷 照夫, 谷口 信博, 堀内 篤, 長谷川 廣文, 川越 裕也, 平田 充彦, 岡 ...
    1984 年 37 巻 1 号 p. 136-144
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器腫瘍性疾患の治療としてはTotal cell killを理念とする多剤併用療法が用いられるようになり, 明らかにその寛解率, 患者の生存率は上昇した。しかし, 疾患自体に基づく, あるいはそれに加えて強力な抗腫癌化学療法, 副腎ステロイドの使用により, 宿主の感染防御能は著明に低下し, 併発する感染症は極めて重篤化しゃすい。それ故, 合併した重症感染症を如何に征服するかが, 造血器疾患患者の予後を左右する大きな鍵となる1~8)。
    今回, 我々は造血器疾患に合併した重症感染症に対し, 本邦にて新たに開発されたCephem系抗生剤Ceftizoxime(エポセリン®, 以下CZXと略す4~7))の治療効果を検討したので, 以下その成績を報告する。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 金尾 昌明, 岡田 弘二
    1984 年 37 巻 1 号 p. 145-151
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpiramide (CPM) は我が国で開発された新半合成セフェム系抗生物質であり, 本剤はFig. 1に示すように7位側鎖にHydroxymethylpyridine基を, 3位側鎖にTetrazole環を有している。本剤はグラム陽性菌並びにグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にPseudcmonas aeruginosaを含むブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌の多くに強い抗菌力を示す。なかでもP. aeruginosaに対するMICはCefsulodinに匹敵する程である1)。
    本剤をヒトに静脈内投与した場合の血中濃度のPeakは既存のセフェム系抗生物質のいずれよりも高く且つ持続的である。そして, その生物学的半減期は4~5時間であり, 連続投与による蓄積性は認められないと言う利点を有している。又, 本剤の尿中排泄率は20~30%と既存のセフェム系抗生物質に比べてやや低いが, 胆汁中への移行は優れている1)。
    今回, 我々は産婦人科領域における本剤の基礎的検討並びに臨床的有効性, 安全性を検討する機会を得たので以下に報告する。
  • 二重盲検法によるCephalexinとの比較成績
    堀井 正雄, 森永 登規雄, 竹内 豊次郎, 島田 惣四郎, 山中 弘之, 西村 敏治, 熨斗 嘉文, 岡田 孝, 佐々木 哲也, 高田 静 ...
    1984 年 37 巻 1 号 p. 152-175
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (ケフラール®, 以下CCLと略記) は, 米国Eli Lilly社で開発された径口用セフェム系抗生物質で, Fig. 1に示すとおり化学構造上, 3位の炭素尿子に直接クロール原子が結合しており, この点, 既存のセフェム系抗生物質では基本的には3位の側鎖には必ず炭素原子が結合しているのとは異なる。
    CCLは既存の経口用セフェム系抗生物質に比べ, in vitroで抗菌力の強化, 拡大が認められ, 短時間で強い殺菌作用を示すことが特長とされており1~8), 我が国では1982年から発売され, 有効性と安全性の面から, 内科, 小児科, 耳鼻科等の各科領域の種々の軽・中等産の細菌感染症に頻用されるようになつてきつつある。
    今回われわれは, 歯科領域感染症に対するCCLの有効性, 安全性及び有用性をCephalexin (ケフレックス®, 以下CEXと略記)(Fig. 1) を対照薬として, 二重盲検法により比較検討し本剤の臨床効果の出現が早期に現われると言う興味ある成績を得たので報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1984 年 37 巻 1 号 p. 176-183
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime (CMX) は武田薬品工業中央研究所で開発された注射用新合成セフェム系抗生物質である。
    本剤はStreptococcus pneumoniae, Escherichia coil, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Indole陽性Proteus, Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacterに対する抗菌力が第2世代のセフェム剤より優れ, 又その抗菌スペクトラムはSerratia marcescens, Bacteroides fragilisにまで拡大されていると報告されている。
    今回われわれは, 臨床検査としての本剤のディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    CMXのように新しく出現した薬剤の臨床的な感性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても, 最終的には多くの起因菌について得たMIC値と, 薬剤使用による臨床効果との集計の上に将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが, 臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うように, すでに金沢4~7)により設定されたMIC値の推定を目的とするsingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告した。
    今回はCMXについても本法が適用されるかを検討した。
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