1984 年 37 巻 10 号 p. 1973-1976
第3世代Cephem系抗生剤の特長の1つは, β-Lactamaseに対する安定性である。しかし, 現在のCephem系抗生剤の使用状況から判断すれば, 耐性菌の出現は時間の問題であるとも言える。こうした状況下における解決策の1つとしてβ-Lactamase阻害剤と既存の抗生剤との併用が注目される。今回β-Lactamase阻害剤であるSulbactam (SBT) と第3世代Cephem剤Cefoperazone (CPZ) との合剤 (SBT/CPZ) を治験する機会に恵まれたので, 当院における成綾の概要を記述する。SBTはFig. 1のような構造式を有し, 安定且つ急性毒性も最近のβ-Lactam薬剤に比較し得る程度に低いと言われるβ-Lactamase阻害剤である。CPZは, 富山化学工業綜合研究所で開発され, PiperacillinのDioxopiperazinyl基を有するため (Fig. 2), 更に広い抗菌スペクトラムと増強された抗菌力を有する第3世代のCephem剤である。この2剤の組み合せによる新しい配合剤には大きな利用価値が期待されるところである。