1984 年 37 巻 2 号 p. 209-218
新しい抗生物質Cefotiam(CTM)は武田薬品研究所で開発した新しいCephem系抗生物質で, グラム陰性菌及びグラム陽性菌に広い抗菌スペクトラムを有し, Enterobacter, Citrobacter, インドール陽性のProteus vulgaris, Proteus rettgeri, Proteus morganiiにも抗菌力を示す。グラム陰性桿菌, 特にEscherichia coli, Klebsiella, Proteus mirabilisに対して抗菌力が強い1, 2)。静注及び筋注により高い血中濃度が得られ, 胆汁への移行が良好であり3), 生体内ではほとんど不活化されることなく主として腎から尿中に排泄される4, 5)。
今回私共は消化器領域の感染症, 特に胆道感染症に対する本剤の臨床的効果を検討すると共に, 本院における起炎菌に対する抗菌力について, 他の抗生物質と比較検討したので報告する。