1984 年 37 巻 2 号 p. 243-246
先天性胆道閉鎖症 (以下CBA) 患児における胆汁酸代謝並びに抗生物質の胆汁中移行は共に現在極めて興味ある問題である。
本症の患児の根治術時に我々は既報1)のFig. 1に示す駿河II法, 外胆汁空腸瘻を造設するが, 本法によれば術後肝から流出する全胆汁を正確に採取可能である。そこでこの空腸瘻から流出する胆汁を用いて血中並びに胆汁中の総胆汁酸値を測定し, 本症患児術後胆汁酸代謝の病態を検討, 更にCephem系抗生物質のうちで, 我々が本症根治術後に逆行性胆管炎防止などの治療に際し, 良く使用するCefmetazole (以下CMZ) の胆汁中移行を測定し, 胆汁酸代謝との関連性について検討を行つた。