The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefhlenoximeのヒト血清中及び口腔組織内移行濃度の検討
はさん ハサン奥井 寛田中 浩二野村 雅久清見原 正騎谷 成寛石川 武憲下里 常弘
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1985 年 38 巻 11 号 p. 3111-3117

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抄録

口腔領域の感染症の原因菌としては, staphylococcus及びstreptococcusなどのグラム陽性菌が主体をなしている。しかし, 近年, 耐性菌などによる難治性感染症も増加しており, 又, グラム陰性桿菌や嫌気性菌による感染症例の発現することもまれではない。起炎菌の違いや変化に伴い, 使用される抗生物質もより幅広い抗菌スペクトルを持ち, 強い抗菌力を有する種々の抗生物質の開発がなされてきた。中でもセフェム系抗生物質の開発はめざましく, 現在, 新しく開発された各種セフェム系抗生物質の臨床治験例も急増し, その評価がなされるに至っている。
今回, 我々はセフェム系注射用抗生物質Cefmenoxime (CMX)の投与時におけるヒト口腔領域の組織内への移行濃度と血清中濃度を知る目的で検討を行い, 併せて臨床例での評価を行つたので報告する。
使用薬剤CMXは武田薬品工業で合成・開発された新しいセフェム系の注射用抗生物質で, 本剤の化学構造的特徴としては, 3位にMethyltetrazole基, 7位側鎖にAminothiazoiyl-methoxyiminoacetyl基を有している(図1)。このため既存のセフェム系注射用抗生物質と比較して, 抗菌スペクトルが強化, 拡大され, グラム陰性菌に対する抗菌力も強く, 嫌気性菌にも有効で, 又, 細菌の産生するβ-Lactamaseに対しても強い抵抗力を有し, 分解されないことが示されている。

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