The Japanese Journal of Antibiotics
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化膿性中耳炎に対するAztreonamの薬効評価
馬場 駿吉木下 治二森 慶人鈴木 賢二古内 一郎馬場 広太郎谷垣内 由之長江 大介河合 岩丸尾 猛本堂 潤和田 健二稲垣 光昭原田 康夫鈴木 衛高須賀 信夫大山 勝花牟礼 豊伊東 一則
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1986 年 39 巻 1 号 p. 159-176

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抄録

Aztreonam(AZT)は米国スクイブ社で開発された新しい注射用のMonobactam系抗生物質である。本剤はL-Threonineから全合成された単環のβ-Lactam系抗生物質Dで, 従来の二環系抗生物質であるPenicillin系あるいはCophem系抗生物質とは異なるカテゴリーに分類される。その構造式はFig. 1に示すようにβ-Lactam単環のN1位にスルホン酸基が置換したものを母核としたものである。
本剤は各種β-Lactamase及びDehydropeptidaseに対して極めて安定で, 細菌学的にはPseudomonas aeruginosa, Escherichia coli, Klebsiella属, Proteus属, Citrobacter属, Serratia属などのグラム陰性桿菌に対して強い抗菌力を示し, グラム陰性球菌である淋菌, 髄膜炎菌に対しても優れた抗菌力を有している2~5)。In vivoでの感染実験においてもin vitroの抗菌力を上回る優れた感染防御効果が認められている。
又, 本剤は静注, 点滴静注, 筋注により速やかに高い血中濃度が得られ, 体内ではその大部分が未変化のまま尿中に排泄され, 血中濃度の半減期は1.6~1.8時間とされている。更にPenicillin系及びCephem系抗生物質とは異なり, アレルギー反応の発現はほとんど認められていないのが特徴とされている。
今回私達は, 化膿性中耳炎の治療におけるAZTの有効性と安全性を評価する目的で, その基礎的・臨床的検討を行つたのでそれらの成績について報告する。

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