1986 年 39 巻 1 号 p. 177-246
Cephem系抗生物質の経口剤であるCefaclor (CCL) はすでに市販されて3年になり, 各科領域の細菌感染症に対し広く使用されている薬剤である。
S6472はこのCCLを胃溶性及び腸溶性のCoatingを施した穎粒が力価比4: 6に配合されており, 前者は胃中で直ちに, 後者は小腸上部に至つて崩壊し体内に吸収されるという特徴を有し, 従来のCCL製剤よりも血中濃度を長く持続させることを目的として塩野義製薬株式会社が開発した製剤である。
今回, 私たちは本剤のカプセル製剤と対照薬としてCCLを成人に経口投与し, 糞便内細菌叢の変動を観察, 薬剤投与時における糞便中CCLの濃度を測定, 分離株のCCLに対する薬剤感受性を測定すると共に副作用を検討したのでその成績を報告する。