The Japanese Journal of Antibiotics
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慢性複雑性尿路感染症に対するMicronomicinの点滴静注投与時の有効性と安全性の検討
鈴木 恵三高梨 勝男
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1987 年 40 巻 1 号 p. 117-135

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抄録
1.体内動態
Micronomicin (MCR) を3例の高齢者 (平均年齢77歳) に180mg投与し吸収と排泄を測定した。1時間で点滴静注 (i.v.d.) した時の血中濃度ピークは16.0~22.2μg/ml (平均18.8±3.2μg/ml) であった。腎機能に異常のない2例のT1/2は2.2~2.5時間であったが, 軽度の障害をみた1例では4.3時間で軽度の延長をみた。このうち2例で1日180mgを2回, 5日間連続投与したが, 蓄積がなく, 安全性に問題がなかつた。
上記3例で, 血中β2-Microglobulin (β2-MG), N-Acetyl-β-r D-glucosaminidaso (NAG), SCreatinineと尿中β2-MG, NAG, U-Creatinineを投与前, 後で測定したが, MCRに基づくと思われる異常を認めなかつた。
2. 臨床効果
MCRを慢性複雑性尿路感染症 (CC-UTI) 26例に点滴静注により投与した。1日投与量は240~360mgが24例とほとんどを占め期間は5日間とした。UTI薬効評価基準で評価可能な25例の成績は, 著効4例, 有効14例, 無効7例で有効率72%であつた。
3. 安全性
自他覚的副作用, 臨床検査値を検討したが, 全てに異常を認めなかつた。
4. 結語
MCRは高齢者のCC-UTIを主対象として, 1日240~360 mg, 5日間の点滴静注による治療で, 有効性に優れ, 安全性にも問題のないことが確認されたが, 腎障害例では排泄が遅れる傾向があり, 腎機能に応じた投与量の設定が肝要である。
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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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