The Japanese Journal of Antibiotics
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硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) の体内動態に関する研究
III. ウサギ単回投与時の筋注静注, 点滴静注の検討
鈴木 忠清宗宮 善典志良以 まりよ酒井 敦史岩崎 正和森下 真孝
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1987 年 40 巻 1 号 p. 208-219

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抄録

ウサギに硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) 6.25, 25μg/kg及び100mg/kg筋注, 静注及び点滴静注し, その体内動態を比較検討した。
筋注, 静注及び点滴静注時の血漿中濃度はいずれの場合も投与量に依存して増加した。
生物学的半減期 (T1/2), 総体内クリアランス (Cl1) 及び血漿中濃度時間曲線下面積 (AUC) はいずれの投与経路においても差は認められなかつた。
45分間点滴静注時の血漿中濃度から算出した薬動力学的パラメーターを用いて点滴静注時の理論推定曲線を作図すると, 筋注時の最高血漿中濃度 (Cmax) とほぼ同じ値を得るためには60~90分の点滴時間が必要とされ, 又, 点滴静注においては点滴時間を調節することにより筋注と同等の最高血漿中濃度が得られるものと考えられた。
15分間点滴静注でCmaxに達する15分後における各組織内濃度は, 筋注の場合と比較し, 高濃度を示したが, 1時間後においては腎を含め各組織とも筋注とほぼ同じ値を示し, その後の消失推移も筋注の場合とほぼ同様であつた。
筋注, 静注及び点滴静注時の尿中排泄は, いずれの投与量及び投与方法においても速やかで, 24時間までに投与量の75~92%が回収され, 高い排泄率を示した。
筋注時の尿を用いて活性代謝物の検索を行つた結果, 単一の阻止帯だけが検出され, 尿中には活性代謝物は認められなかつた。

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