The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefuzonamの女性性器移行性に関する研究
本郷 基弘清水 礼子栄 勝美高知 利勝谷 政明
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1988 年 41 巻 8 号 p. 997-1001

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抄録

腹式単純子宮全摘出術を施行する患者24例に, Cefuzonam (CZON) 1gを静注し, 肘静脈, 子宮動脈血清中濃度, 子宮及び子宮付属器組織内濃度をBioassay法にて測定した。両側子宮動脈挾鉗時をもつて検体採取時点とし, 投与後15, 30分, 1, 2, 4, 6時間目に検体を採取した。
肘静脈血清中濃度と子宮動脈血清中濃度はほぼ同一のレベル推移を示し, 半減期はそれぞれ52.0分, 48.2分であった。卵管, 卵巣, 子宮内膜, 子宮体部筋層, 子宮頸部, 子宮腟部いずれも投与後15分で最高濃度を示し, 卵巣で37.5μg/gと高く, 他組織では17.6~25.5μg/gであった。その後は経時的に減少しその半減期は37.4~53.7分と血清中濃度半減期とほぼ同等であった。以上の成績から, 本剤の女性性器各組織への移行性は良好であり, 産婦人科感染症において高頻度に分離される菌の発育を阻止するのに充分な濃度の移行が認められた。このことから臨床的にも性器感染症に対し本剤が充分な効果を示すものと推測された。

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