The Japanese Journal of Antibiotics
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真菌感染症に対するFluconazoleの臨床的検討
松島 敏春池田 博胤富澤 貞夫中村 淳一安達 倫文川西 正泰田辺 潤田野 吉彦
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1989 年 42 巻 1 号 p. 153-163

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抄録

4例の深在性真菌症に対してFluconazoleを経口使用した。使用量は1日100~300mgで, 使用期間は8日間から6カ月間に及んだ。
Candidaによる敗血症と舌潰瘍を伴う口内炎では, 重篤な基礎疾患があるにもかかわらず, 症状・所見は速やかに改善し, 菌陰性化も得られ, 極めて有効であつた。
2例のアスペルギローマにおいても, 菌球の消失, 縮小を認め, 菌陰性化も得られ, 臨床的には極めて有効であろうと考えられた。しかし, Fluconazoleのこれら分離Aspergillusに対する発育阻止濃度は2例におけるFluconazoleの血中濃度よりもはるかに高く, 臨床的有効性との間に大きなギャップがあった。この差を説明できる所見が現在得られていないので, 更に今後検討する必要がある。
アスペルギローマの2例ではFluconazole100~200mg/日の内服6カ月間, カンジダ症では100~300mg/日の内服8~13日間使用したが, 胃腸障害を始めとする副作用はなく, 臨床検査値の異常も認められなかった。
以上から, 本薬剤の真菌感染症に対する有用性が示唆された。

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