The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児に対するFluconazole経口剤の使用経験
荒井 祥二朗井口 光正神谷 齊櫻井 實
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 1 号 p. 165-170

詳細
抄録

Fluconazoleはトリアゾール系の抗真菌剤で, Candida, Aspergillis, Cryptococcusなどに対して強い作用を持ち, 経口又は静脈内投与した場合いずれも各臓器に広く分布するため, 深在性真菌症に対して効果が期待できる薬剤である。又, その血中濃度半減期が25~30時間と長いことから, 1日1回の投与で効果が期待できる。
我々は真菌感染症のリスクが高い4症例に対して予防的に, 及び3例の深在性真菌感染症に対する治療として本剤を経口的に投与した。3例の真菌感染症の起炎菌はすべてCandida albicansで, 疾息は肺炎, 口腔内感染症, 消化管感染症各1例であった。臨床評価を行つた3例はすべて臨床症状の改善があり, C. albicansは消失し, 総合効果は有効であった。予防的投与を行つた4例においても, 剖検所見にて明らかな真菌感染は認められなかった。
Fluconazoleは臨床的に問題となるような副作用の出現もなく, 小児でも比較的安全に使用できるものと思われた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top