The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児, 未熟児におけるCefmenoximeの基礎的・臨床的検討
本廣 孝川上 晃田中 耕一古賀 達彦島田 康冨田 尚文阪田 保隆藤本 保西山 亨久田 直樹富永 薫山下 文雄木村 建市川 光太郎中尾 光善松元 透織田 慶子原 貴美子安藤 寛市川 紀子広瀬 富士子大滝 悦生山下 祐二高城 信彦橋本 信男藤沢 卓爾木下 昇平中野 光郎今井 昌一永山 清高武石 卓田中 信夫坂本 博文石川 豊荒木 久昭田中 祥視津川 信湯浅 洸入来 典原田 素彦橋本 武夫佐藤 登山下 裕史朗西見 寿博江口 春彦臺 俊一津末 美和子福田 清一中嶋 博文原田 豊石本 耕治松行 真門久保田 薫太田 正憲師井 敏裕松尾 宏梶山 純子堀川 瑞穂田中 永一郎浦部 大策弓削 建
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1989 年 42 巻 12 号 p. 2672-2691

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抄録

1~26生日の新生児, 未熟児23例に対しCefmenoxime (CMX) を10mg/kgか20mg/kg をOne shot静注で投与し, 投与6時間後までの血漿中濃度, 尿中濃度及び尿中回収率を測定し, 0生日から3カ月の新生児, 未熟児, 乳児の細菌感染症及び細菌感染症疑いと感染予防を目的として27症例に投与したが, 臨床効果と感染予防効果の判定できた症例は各々15, 7例で, それぞれの効果と細菌学的効果をみると共に副作用と症例によっては臨床検査値異常を検討したところ, 次のような結果を得た。
1. 10mg/kgを投与した7例中生下時体重2, 500g未満の15~21生日, 22~28生日例, 生下時体重2, 500g以上の4~7生日, 8~14生日例における単独か平均での血漿中最高濃度はいずれも投与5分後で, 各々42.6μg/ml, 45.9μg/ml, 36.9μg/ml, 38.9μg/mlを示し, 著しい違いはなく, 1例が2峰性の濃度推移を示したが, その原因は不明であった。単独か平均での半減期は各々1.5時間, 1.6時間, 2.4時間, 1.9時間で, 生下時体重2, 500g以上の4~7生日例である5生日の1例が2.4時間で, 他の3日齢群より延長がみられた。
2. 20mg/kgを投与した16例中生下時体重2, 500g未満の0~3生日, 8~14生日, 15~ 21生日例, 生下時体重2, 500g以上の8~14生日, 15~21生日例における平均血漿中最高濃度は生下時体重2, 500g未満例の3生日例で, 原因は不明であったが投与15分後に最高濃度を示したことも影響して, 0~3生日例は投与15分後が最も高い濃度で63.8μg/ml, 他の4群は各々68.1μg/ml, 59.4μg/ml, 109.9μg/ml, 79.7μg/mlで, 個々の例あるいは平均でみてもばらつきがあり, 3例が2峰性の濃度推移を示したが, その原因は不明であった。0~3生日例の平均半減期は生下時体重2, 500g未満の1生日例が6.0時間と著しく延長したことが影響して平均は4.0時間と最も延長し, 他の4群は各々1.9時間, 1.4時間, 1.5時間, 1.9時間であった。
3. 10mg/kgを投与した7例の尿中濃度は投与後0~2, 2~4, 4~6時間のすべてかいずれかで測定でき, いずれも9.86~1, 245.0μg/ml域を示し, 生下時体重2, 500g未満の15~ 21生日, 22~28生日例, 生下時体重2, 500g以上の4~7生日, 8~14生日例の投与6時間後までの単独あるいは平均での回収率は各々56.7%, 64.6%, 36.7%, 73.5%で, 生下時体重 2, 500g以上の4~7生日は1例ではあったが他の3群より低率であった。
4. 20mg/kgを投与した16例の尿中濃度は投与後0~2, 2~4, 4~6時間のすべてかいずれかで測定でき, いずれも70.1~3, 330.0μg/ml域を示し, 生下時体重2, 500g未満の0~3生日, 8~14生日, 15~21生日例, 生下時体重2, 500g以上の8~14生日, 15~21生日例の平均回収率は各々50.1%, 57.6%, 82.5%, 73.3%, 56.6%であったが, 各々の例でみた場合, 生下時体重2, 500g未満の1生日例が20.6%と最も低率であった。
5. 種々の細菌感染症及び細菌感染症疑い例の15例に本剤を1日量平均87.5mg/kg, 1例が1日1回, 他の14例は分2か分4のOne shot静注で, 平均8日間投与しての臨床効果は有効率86.7%と良好で, 感染予防を目的として7例に本剤を1日量平均63.1mg/kg, 分2~4, One shot静注で平均6日間投与しての予防効果は全例に認められた。細菌学的効果はEscherichia coliが起炎菌であった尿路感染症のわずか1例だけに判定でき, E. coliは消失した。
6. 臨床効果及び感染予防効果の判定できた22例と本剤を3日以上投与したが脱落症例であった4例を加えた26例で副作用の出現した例はなく, 臨床検査値ではGPT単独とGOT, GPTの同時異常上昇が各々1例に認められた。

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