The Japanese Journal of Antibiotics
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周産期におけるCefmenoximeの基礎的, 臨床的研究
長 南薫福永 完吾國井 勝昭
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1989 年 42 巻 12 号 p. 2692-2708

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抄録

周産期におけるCefmenoxime (CMX) の臨床応用に関し基礎的並びに臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1. CMXの妊婦投与後の吸収は速やかであり, 静注後短時間内に血清中濃度はピークに達した。
経胎盤的胎児移行は良好で, 1回1gの静注で主な感染起因菌に対するMIC値に達する臍帯血清, 羊水中濃度が得られた。又, 母体投与後出生した新生児の血清中CMX濃度の消長を追跡し, 臍帯血清中濃度に相応した濃度を認め, 緩徐に減少することを認めた。この成績から, CMXは1回1g1日2回の静脈内投与で, 周産期感染症の治療又は予防が可能である。
2. 周産期感染症の治療及び子宮内羊水感染の予防にCMXの投与を行い, 臨床効果を認め, 副作用は少なかった。
3. CMXを投与された母体から出産した新生児は諸検査において異常が認められなかった。
4. CMXの母乳移行は少量で, 母乳を通じての新生児への移行は微量とみられる。
以上の諸成績から, 周産期におけるCMXの臨床的有用性が示唆された。

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