1991 年 44 巻 1 号 p. 48-57
九州大学第1内科関連の9施設において診療された肺炎41例, 急性気管支炎18例, 慢性気管支炎33例, 気管支拡張症+感染15例, びまん性汎細気管支炎3例, その他の二次感染3例の計113例について, 封筒法による無作為割付けにより, Ofloxacin (OFLX) 1日量400mgと600mgの1日2回分割投与法の有用性を比較検討した。
OFLX の1日400mg投与群は55例で, 600mg投与群は58例であり, 患者の背景の中で重症例が600mg投与群に多くなつていた。臨床症状の全般改善率は400mg投与群が92.6%, 600mg投与群が82.1%で, 400mg投与群の方が優れていた。しかし, 著明改善率は600mg投与が35.7%と400mg投与の27.8%より優れていた。細菌学的効果としての菌消失率は400mg投与群が88%で, 600mg投与群の55%より有意に優れていた。副作用発現率は400mg投与群の3.6%に比べ, 600mg投与群は22.4%と高率で, 不眠などの中枢神経系症状が多発した。臨床検査値異常出現率は1.8, 1.7%と両群に差がなかった。そこで概括安全度は400mg投与群の96.4%に対して600mg投与群は77.6%で, 有意差が認められた。
下気道感染症を対象とした OFLX の1日400mgと600mgの1日2回分割投与法の有用性はそれぞれ94.4%と79.3%で, 400mg投与の方がより有用であったが, 有意差はなかった。