The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児期におけるFlomoxefの基礎的, 臨床的検討
阿座上 志郎磯畑 栄一竹田 周吾金 慶彰老川 忠雄小佐野 満城 裕之
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1991 年 44 巻 11 号 p. 1228-1239

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抄録

Flomoxef (FMOX) の新生児期における基礎的検討を行い, 以下のような結論を得た。
1.FMOXの投与30分後の血中濃度の平均値は10mg/kgを投与した際には24.3μg/ml, 20mg/kgを投与した際には47.6μg/ml, 40mg/kgを投与した際には85.8μg/mlであった。
2.半減期は日齢0~3日では平均3.4時間, 日齢4日以降では平均2.6時間であった。
3.10mg/kg, 20mg/kg, 40mg/4kg投与群の間で血中濃度, AUCに明らかなDose responseが認められた。
4.尿中回収率は投与間始6時間までで12.8~51.1%であった。
5.臨床投与例は起炎菌が明らかな症例8例中7例で臨床的に著効又は有効であった。
6.臨床的副作用は1例に下痢を認めたが, 本剤投与中止後間もなく軽快した。検査値異常を認めた症例はなかった。
7.FMOXの抗菌スペクトルはグラム陽性菌からグラム陰性菌にまで広く及び, 多くのβ-Lactamaseに安定で, 今回の検討でも高い有効性を認め, 且つ重篤な副作用も認められなかつたことから, 今後新生児, 乳児期の敗血症, 尿路感染症などの細菌感染症の際に第1選択として用い得る有用な薬剤の一つと考えられる。

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