The Japanese Journal of Antibiotics
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Ceftriaxoneの血中遊離濃度の検討
西園寺 克三宅 紀子三宅 一徳猪狩 淳小林 寅哲佐藤 弓枝
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1992 年 45 巻 2 号 p. 136-142

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抄録

Cefthaxone (CTRX) は蛋白結合率が高く, 半減期が長く, 血中濃度が長時間維持される薬剤である。
CTRXの蛋白結合率及び遊離型血中濃度の経時変化を, Cefotetan (CTT) とCefpiramide (CPM) を対照薬剤としてCossover法で検討した。
成年男子5名を対象として, 抗生物質1gを30分の点滴静注を行い, 点滴静注前, 0, 1, 2, 4, 8, 24時間後に採血を行った。
血清分離後, 血清の一部をMPS-3 (アミコン社) を用いて遠心し, 濾過液を遊離型濃度用検体とした。Bioassayと高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法で総血中薬剤濃度と遊離型血中薬剤濃度を測定した。
総血中薬剤濃度の平均値は0時間を除くとCTRX>CPM>CTTの順である。0時間値は, 3剤共に200μg/ml以下であつた。24時間値はCTRXとCPMは測定できたが, CTTは検出できなかった。
遊離型血中薬剤濃度の平均値は各採血時間においてCTRX>CTT>CPMの順である。CPMでは4時間後にCTTでは8時間後に1μg/ml以下となつた。24時間ではCTRXだけ測定可能であった。総血中薬剤濃度についてTwo-compartrnent modelで薬動力学的パラメータを計算した。HPLC法データに基づく血中半減期に平均値は, CTRX (7.5時間)>CPM(5.4時間)>CTT (4.7時間) の順であつた。蛋白結合率の平均値は, CPM (約98%)>CTT (約94%)>CTRX (約92%) の順であった。
CTRXは90%以上の蛋白結合率を持っため, 遊離型薬剤濃度は低値と推定する傾向が見受けられるが, 8時間値でも2μg/ml以上の遊離型薬剤が認あられた。
蛋白結合率の90%以上の3薬剤のCrossover studyの結果から, CTRXは遊離型薬剤濃度を長時間維持できる薬剤と考えられる。

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