1992 年 45 巻 2 号 p. 172-180
各種血液疾患及び胃癌に対する化学療法時に合併した重症感染症40例に新しく開発されたカルバペネム系抗生物質Panipenem/Betamipron (PAPM/BP) を投与し, その臨床効果及び安全性について検討を行った。評価可能対象の基礎疾患40例は, 急性骨髄性白血病12例, 骨髄異形成症候群5例, 悪性リンパ腫5例, 再生不良性貧血3例, 多発性骨髄腫, 特発性形質細胞性リンパ節症及び成人T細胞白血病が各2例, 急性リンパ性白血病, 悪性細綱症, ポジキン病, 慢性骨髄性白血病, 赤白血病, 自己免疫性溶血性貧血, 発作性夜間血色素尿症, 形質細胞性白血病, 胃癌が各1例であった。感染症の内訳は敗血症5例, 敗血症疑が34例, 急性気管支炎1例であった。臨床効果は著効17例 (42.5%), 有効4例 (10%), やや有効7例 (17.5%), 無効12例 (30%) で有効率は52.5%であった。先行抗生物質投与の有無については有効率に差は認められなかった。又, PAPM/BPによると考えられる副作用及び臨床検査値異常は認められなかった。
PAPM/BP血液疾患に合併する重症感染症に対して有効且つ安全に使用できると考えられた。