1992 年 45 巻 5 号 p. 512-522
造血器疾患に合併した重症感染症138例を対象とし, セファロスポリン系抗生物質Cefclidin (CFCL, El040) による臨床試験を試み, 有効性と安全性の検討を行った。
1.有効性の評価は126例で検討し,55.6%の有効率を認めた。
2.感染症の内訳で最も多かった敗血症疑い症例の有効率は61.2%と高い有効率を示した。
3.投与後好中球数100/mm3以下の群の有効率は33.3% (11例/33例), 501/mm3以上の群の有効率は65.3% (49例/75例) と両者の間に有意差が認められた (P<0.01)。投与前, 後共に100/mm3以下の著明な好中球低下を呈した症例では35.0% (7例/20例) の有効率であった。
4.安全性の評価は138例で検討し, 副作用5例 (3.6%), 臨床検査値異常9例 (6.5%) に認められたが, いずれも重篤なものではなかった。