The Japanese Journal of Antibiotics
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呼吸器感染症に対する塩酸ロメフロキサシンの至適投薬量の検討1日量400mg (分2) と600mg (分3) の比較
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1993 年 46 巻 1 号 p. 44-52

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抄録

新キノロン系抗菌剤, 塩酸ロメフロキサシン (LFLX) の呼吸器感染症に対する至適投与量を確認する目的で多施設共同臨床研究を実施した。LFLXの1回量を200mgとし, 対象を1日2回投薬群 (400mg群) と3回投薬群 (600mg群) に封筒法で群別した。投与期間は7~14日間とし, 他の抗菌剤, 非ステロイド性消炎鎮痛剤の併用は禁止した。総症例は136例 (400mg群66例, 600mg群70例) で, このうち感染症状不明確7例, 初診以後来院なし4例, 対象外疾患2例, 投薬違反1例, 計14例を有効性評価から除外した。
臨床効果は400mg群76.4% (42例/55例), 600mg群74.6% (50例/67例) の有効率であり両群間に有意差は認められなかつた (P≒1.000)。重症度別の有効率は, 軽症では400mg群80.6% (25例/31例), 600mg群82.1% (32例/39例) で, 中等症ではそれぞれ70.8% (17例/24例), 64。3% (18例/28例) であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった (P≒1.000, P=0.768)。
副作用は400mg群に胸やけ1例, 600mg群に食思不振・嘔気, 振戦が各1例発現した。臨床検査値の異常変動は400mg群に2例, 600mgに1例発現した。これらの副作用, 臨床検査値異常はいずれも一過性であつた。
有効性と安全性を勘案して判定された有用性判定では, 400mg群76.4% (42例/55例), 600mg群73.1% (49例/67例) が極めて有用又は有用と判定され, 両群間に有意差は認められなかった (P=0.834)。
以上の成績から, LFLXは1回200mg, 1日2回投薬と3回投薬の間に有効性, 安全性に差はみられないので, 呼吸器感染症に対して1日400mg (分2) が至適投薬量と判断された。更に別途検討した患者での血中濃度からも1回200mg, 1日2回投与の妥当性が示された。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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