1993 年 46 巻 1 号 p. 8-17
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対するAmpicillin (ABPC) 十Arbekacin (ABK) の抗菌併用効果を検討し, 以下の結論を得た。
1. MRSAに対するABPC+ABKのFIC index ≤ 05の割合は48. 7%であり, 既報の8薬剤+ABKのいずれにも勝る抗菌併用効果を示した。
2. MRSAに対するABPC+ABKの抗菌併用効果が他の組み合せに勝るのは, MRSAのPenicillin-binding protein 3に対するABPCの強い結合親和性と, 供試株にはβ-ラクタマーゼ非産生もしくは低産生株の割合が高いことにより, ABPCの抗菌活性が低ドする度合いが低く, 併用時におけるABPCの持ち得る抗菌力が発揮されたからと考えられた。
3. MRSAに対する抗菌併用効果の強弱は, MRSAに抗菌力を発揮する薬剤本体のsub MIC濃度存在下における効果がポイントになり得ることが示唆された。