The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるS-1108の基礎的・臨床的検討
秋田 博伸横田 隆夫砂川 慶介岩田 敏佐藤 吉壮
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1993 年 46 巻 11 号 p. 967-977

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抄録

S-1108は塩野義製薬株式会社で新しく開発されたエステル型の経口用セフェム系薬剤の基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
1. 本剤2mg/kg食後投与時の体内動態の検討では Cmaxは投与後2時間, 0.69μg/ml, T 1/2は142時間, AUCは2.15μg・hr/mlであった。
2. Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Escherichia coli, Haemophilus influenzaeまたβラクタマーゼ産生菌であるBranhamella catarrhalisに対する本剤のMICはCefteramと同様に優れた抗菌力を示し, 特にS. pyogenes, H.influenzaeのMICはそれぞれ0.025以下, 0.10μg/ml以下と優れた結果であった。
3. 上気道炎12例, 下気道炎5例, 尿路感染症9例, 皮膚軟部組織炎6例, 中耳炎2例計34例ついて検討し, 全例有効以上であった。とくに著効は22例 (64.7%) であった。
生副作用は44例について検討したが1例も認めず, 検査値異常は評価可能24例中好酸球増多が1例, GOT-GPTの一過性の上昇が1例, の2症例に認められたのみでいずれも軽度であった。また服用性も良好であった。
以上より本剤は1回投与量2~4mgな8を1日3回食後投与すれば, 小児科領域における感染に対して有効で, 服用しやすく, 安全な薬剤であると考えられる。

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