The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるS-1108の基礎的・臨床的検討
豊永 義清石原 俊秀手塚 徹佐野 友昭中村 弘典
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1993 年 46 巻 11 号 p. 991-1002

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抄録

新経ロセファロスポリン系抗生物質であるS-1108について基礎的・臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1. 抗菌力臨床分離株 (保存株) に対する本剤の抗菌力は, 検討しなかったが, 臨床例での検出株に対する本剤のMICを106cells/ml接種時にて検討を行った。Staphylococus aureus (5株), Streptococcus pneumoniae (6株), Streptococcus pyogenes (3株), Haemophilus influenzae (8株), Branhamella catarrhalis (5株), Haemophilus parainfluenzae (2株) に対するMIC分布は, 順に, 0.78~1.56, ≤0,025~1.56,≤0.025,≤0.025~0.05,≤0.025~0.78,0.10~0.20μg/mlであった。
2. 吸収排泄S・1108, 3mg/kg (4例), 4mg/kg (1例), 6mg/kg (1例) について, 食後投与時のS-1108の血清中, 尿中濃度推移を検討した。3mg/kg投与時では1ないし2, 4時間に057~1.82μg/mlでの濃度ピーク値を示した。
平均値の濃度推移は, 1, 2, 3, 4, 6, 8時間それぞれ, 093, 0.95, 0.81, 0.62, 0.30, 0.10μg/mlで, 半減期は1.29時間であった。
4. 6mg/k8は各々1例の検討であるが, 濃度ピ-クは, それぞれ2, 3時間で, 1.79, 1.27μg/mlを示していた。
尿中回収率は8時間迄に13.0~37.2%であった。
3. 臨床成績本剤を呼吸器感染症25例 (急性肺炎5例, 急性気管支炎11例, 咽・扁桃炎9例), 狸紅熱, 中耳炎各々2例, 尿路感染症3例の計32例に使用した結果, 有効以上の成績であったものは31例で, その有効率は96.9%であった。又, 細菌学的な菌の消失率は, 22例より32株が検出され, 経過中に菌が消失したものは27株であり, 除菌率は, 不明の1株を除き31株中27株となり, 87.1%であった。なお, 副作用。臨床検査値異常は1例のEosinoの上昇を除いてその他は認めず, 服用性にも問題は認めなかった。

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