The Japanese Journal of Antibiotics
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緩慢な増殖をした細菌に対するCefminoxの溶菌力
鶴岡 勉宮田 愛子吉田 隆井上 重治
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1995 年 48 巻 8 号 p. 1003-1008

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抄録

Escherichia coli (E. coli) K-12JE1011を用いて, 緩慢な増殖時の細菌に対するCefminox (CMNX) の溶菌力を, 類縁のセファマイシン系のCefmetazole (CMZ) やAmpicillin (ABPC) と比較した。37℃で培養した時, その増殖速度は, Doubling timeで30分であった。この時, CMNX, CMZ, そしてABPCの溶菌を示す最小濃度は, それぞれ0.39, 3.13, 125μg/mlであった。12℃で培養した時, Doubling timeは720分または816分となり, 増殖速度は37℃の場合の24倍または27.2倍遅くなった。この場合, 3剤の明確な溶菌を示す最小濃度はそれぞれ, 0.78, 25,100μg/ml以上と37℃で培養した時のそれぞれ2倍, 8倍, 8倍以上高くなった。従って, CMNXの溶菌力は余り増殖速度の影響を受けず, 緩慢な増殖をした細菌に対して低濃度でも発揮された。このCMNXの強い溶菌力の原因を調べるため, E. coliペプチドグリカンの断片を遊離する活性を, 以上の3剤に加えて5つのβ-ラクタム剤について測定した結果, CMNXの活性が1番強く, それぞれの活性はMIC値とは必ずしも比例しなかった。以上の溶菌効果は増殖の遅い定常期初期の菌の殺菌に反映し, 類薬5剤の中でCMNXが最も速く且つ残存細菌数の少ない殺菌作用を示した。

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