The Japanese Journal of Antibiotics
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cefpodoximeに対する臨床分離株の感受性推移 (2000-2003年)
阿部 友美古賀 哲文佐藤 有紀伊東 和慶栃川 裕子
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2005 年 58 巻 3 号 p. 259-282

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抄録

Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, 販売名: バナン®) の市販後調査として, 全国各地の医療機関15施設で分離された臨床分離株に対するCPDXを含む経口用セフェム系薬のMICを経年的に調査し, 各種臨床分離株の感受性推移と耐性菌の分離率の推移について検討した。被験菌株は, 1年次として2000年6月から2001年3月に分離された22菌種1,091株を, 2年次として2001年4月から2002年3月に分離された同菌種993株を, 3年次として2002年4月から2003年3月に分離された同菌種1, 115株を用いた。
本調査の3年間において, ほとんどの菌種に対するCPDXの抗菌力に低下傾向は認められず, また承認時までの調査成績と比較して大きな変動は認められなかった。
しかし, penicillin-resistantStreptococcus pneumoniae(PRSP) およびβ-lactamase-negative ampicillin-resistant Haemophilus influenzae (BLNAR) の増加により,S. pneumoniaeおよびH. influenzaeに対するCPDXの抗菌力は他のセフェム系薬と同様に, 経年的な低下傾向が認められた。また, 腸内細菌科の菌種で, extended-spectrum β-lactamase (ESBL) 産生菌などの高度耐性菌が数株分離された。
今後もPRSP, BLNAR, ESBL産生菌といった耐性菌の動向には十分な注意が必要である。

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