The Japanese Journal of Antibiotics
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2004年に分離された各種臨床分離株に対するceftriaxoneの抗菌活性に関する検討
松崎 薫志藤 久美子渡部 恵美子長谷川 美幸佐藤 弓枝小林 寅哲
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2005 年 58 巻 3 号 p. 283-289

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抄録

2004年に国内の医療機関において感染症患者より分離された臨床分離株のceftriaxone (CTRX) および注射用β-lactam薬に対する薬剤感受性を測定した。また一部の菌種に対しては約10年前 (1994-1996年) に分離された菌株を用い, それぞれの抗菌薬のin vitro活性を比較した。
Penicillin-intermediateおよびpenicillin-resistant Streptococcus pneumoniaeを含むStrepto-coccusに対するCTRXの抗菌活性は高く, 1994-1996年分離株および2004年株に対するCTRXの抗菌活性に大きな差は認められなかった。β-lactamase-negative, ampicillin-resistant (BLNAR) 株を含むHaemophilus influenzaeに対しCTRXは0.5μg/mL以下ですべての菌株の発育を阻止し, 強い抗菌力を示したことから小児呼吸器感染症の起炎菌として急増しているBLNAR感染症に有用と考えられた。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeに対しCTRXは良好な抗菌力を示したが, 測定したE.coli50株中1株に高度耐性株が存在した。Nasseria gonorrhoeaeに対する抗菌活性はCTRXは測定薬剤中もっとも高く0.12μg/mL以下ですべての検討菌株の発育を阻止した。
以上の結果から, CTRXは各種感染症患者より分離された新鮮臨床分離株全般に対して優れた抗菌力を示し, 各種感染症の治療抗菌薬として有用と考えられた。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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