2007 年 60 巻 2 号 p. 98-106
2005年1月から10月の期間に, 関東周辺の一次医療機関において呼吸器感染症患者から分離した新鮮臨床株 (Streptococcus pneumoniae 300株, Streptococcus pyogenes 100株, Moraxella catarrhalis 100株, Haemophilus influenzae 200株, Klebsiella pneumoniae 100株およびPseudomonas aeruginosa 100株, 合計900株) のfluoroquinolone系抗菌薬tosufloxacin (TFLX), gatifloxacin (GFLX), levofloxacin, moxifloxacin (MFLX), ciprofloxacin (CPFX) およびprulifloxacin (PUFX) に対する感受性を検討した。
TFLX, GFLXおよびMFLXはpenicillin. resistant S. pneumoniaeを含むStreptococcus属に対し高い抗菌活性を示し, MIC90は0.12-0.5μg/mLであった。M.catarrhalisおよびH. influenzaeに対してfluoroquinolone系抗菌薬はきわめて強い抗菌力を有し, いずれの抗菌薬のMIC90も≤0.06μg/mLであった。K. pneumoniaeおよびP. aeraginosaには検討薬に耐性を示す株が認められたが, TFLXはCPFXおよびPUFXとともに優れた抗菌力を示した。
以上の結果から, TFLXは1990年に上市された後, 15年以上を経過した時点においても強い抗菌活性を有しており, 依然として呼吸器感染症領域で有用性の高い薬剤と考えられた。