日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
エリタデニン高含有シイタケの開発とその脂質代謝に及ぼす影響
豊増 哲郎杉山 公男
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2003 年 11 巻 4 号 p. 151-158

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抄録

エリタデニン高含有品種の開発を目的として,シイタケ栽培品種,野生種の中からエリタデニンを比較的多く含む菌株を選定し,それらの間で集団交配して得た菌株を菌床栽培に供試した.エリタデニン含量および子実体収量を選抜基準にしてエリタデニン高含有菌株H44を選抜した.さらに,シイタケの生育時の温度が含量に大きな影響を及ぼすことを明らかにし,通常の5倍以上にエリタデニンを含有するシイタケの栽培法を確立した.エリタデニン高含有シイタケの有効性を,Wistar系雄ラットを用いた動物実験で確認した.その結果,エリタデニンを高含有するシイタケ(473mg/100g)は用量依存的に血漿コレステロール濃度を低下させ,食餌添加の最少有効量は0.05%であった.次に,エリタデニン含量の異なるシイタケ粉末を0.2%添加した基本食を2週間ラットに与えた.その結果,エリタデニンによって影響を受ける脂質代謝における各パラメーター(肝臓SAMとSAHの濃度比(SAM/SAH),PCとPEの比(PC/PE),PCの20:4n-6/18:2n-6比)は,エリタデニン含量との間に有意の負の相関が認められ,血漿コレステロール濃度はエリタデニン含有量の高いシイタケほど低下することが確認された.1%コレステロール添加食を与えたラットに対して通常のエリタデニン含有量のシイタケでは血漿コレステロール低下作用は認められなかったが,エリタデニン高含有シイタケは強い低下作用を示し,少量のシイタケ摂取でも脂質代謝に強い影響を及ぼすことが確認された.

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© 2003 日本きのこ学会
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