森林応用研究
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ナラ類集団枯損の発生経過とカシノナガキクイムシの捕獲
小林 正秀萩田 実
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2000 年 9 巻 1 号 p. 133-140

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抄録

京都府北部の5林分で,コナラとミズナラの枯損状況を調査したところ,コナラよりミズナラの枯損率が高く,枯損率は最初の被害が発生して3年目頃に最大となった。エタノールを用いた誘引トラップでカシノナガキクイムシを捕獲したところ,捕獲数も被害発生3年目頃に最大となった。しかし,本種はエタノールにはほとんど定位しないことが,α-ピネンや誘引剤なしのトラップ及び障壁トラップとの比較で判明した。ナラ樹に粘着トラップを巻き付けて捕獲したところ,飛翔は6月上旬〜10月下旬にみられ,飛翔時間は午前5時〜11時で,飛翔高度は0.5〜2.0mに多いことがわかった。さらに,前年に穿孔を受けたナラ樹に羽化トラップを被覆して調査したところ,羽化時期は6月上旬〜10月上旬であること,枯死木からの羽化は多いが,健全木からは少ないことがわかった。また,枯死木1m^3当りの羽化数は約3万頭で,1穿孔当りでは約20頭であった。割材調査では,枯死木1m^3当りの羽化数は約5万頭で,1穿孔当りでは約13頭であった。また,すべてのトラップ調査においで性比は雄に偏っていた。

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© 2000 応用森林学会
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