森林応用研究
Online ISSN : 2189-8294
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ISSN-L : 1342-9493
9 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2000 年 9 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2000 年 9 巻 1 号 p. Cover2-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2000 年 9 巻 1 号 p. Toc1-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. App1-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. App2-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 胡 勇, 黒川 泰亨
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    本研究では,中国の農山村福祉を中心として,その発展と特徴について考察を加えた。すなわち中国の農山村福祉に関する農村協同医療制度,農村貧困救済,高齢者扶養の三つの問題に視点をおき,現在直面する課題を提起して,検討を要すると考えられる事項について周辺領域の諸問題をも含めて考察した。中国の農山村においては,農林業の近代化よりは工業の近代化の方向を志向しているため農林業生産や経営などの方面が軽視され,ますます農林業の近代化が立ち遅れる傾向にある。また,農林業の発展と農山村福祉の向上のバランスをとる人材が育成できていないため,農山村地域の問題について展望にかける方策が出現している。農林業の近代化を重視し,地域社会にプラスになる地域福祉の充実あるいは地域社会を安定化させるソフトウエアの構築が課題となっている。
  • 野瀬 光弘
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    1997年に採択された京都議定書の条項には,植林による蓄積の増加分を部分的に炭素吸収と定める一方で,木材製品起源の炭素放出を数値目標に組み込むかどうかの議論も進んでいる。既存の炭素放出の推計には,伐採木材の加工・消費・廃棄プロセスに焦点を当てた手法が提案されている。木材起源の炭素放出量は,温室効果ガスの削減目標に組み込まれる可能性があるので,その推計手法は今後重視されてくる。本論文では,木材消費のカテゴリーを,薪炭,その他産業用丸太,製材,木質パネル,紙・板紙の5つに分けて国ごとに炭素量を計算した。データは,FAOのホームページから入手し,基準年は1990年とした。木材消費パターンは,商品木材を炭素量単位に換算してから比率を求め,クラスター分析(ウォード法)によって国ごとに分類した。その結果,薪炭の比率の違いによって大きく4つのグループに分けられることが判明した。各グループの代表的な国に大気フロー法を適用した炭素放出量を計算したところ,薪炭の比率が多い国では木材消費パターンの違いが結果にある程度反映された。薪炭以外の商品木材消費量が多い国は,木質廃棄物の処理データの充実が求められる。
  • 幡 建樹
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    製材工場および原木市場,製品市場,森林組合への聞き取り調査結果および既存研究,統計資料をもとに,愛媛県久万林業地の展開過程と久万産材を加工する地域製材業の変遷を整理するとともに,森林組合の活動が久万林業地の展開に及ぼした影響について検討した。久万地域の林家の多くは中小規模の農家林家であるが,優良材生産に向けて他の一般的な林業地に比べて枝打ちに象徴されるより集約的な施業を行ってきた。多くの林家が自家労働力によって間伐および搬出を含めた保育作業を行い,森林組合がこうした活動をサポートしてきた。森林組合は補助金を活用して林道および作業道を開設し,林家の自伐を促進してきた。また,原木市場を開設して安定的な素材の流通経路を確保するとともに,製材工場を開設して新たな久万産材加工の担い手を生み出した。こうした取り組みにより,地域の素材価格水準が周辺地域に比べて高く維持され,素材生産量が増加した。しかし,その一方で久万産材加工の重要な担い手となってきた地域民間製材工場の活力が,補助金によって低価格で資本を装備しえた森林組合工場との素材獲得競争の中で低下し,新たな経営展開をなしえていない工場が多くみられる。
  • 石橋 公雄, 池渕 隆, 西 政敏, 後藤 崇志, 山根 啓義, 二見 鎌次郎
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    スギ材の利用拡大を目的に,スギ材をそえ心材に利用した構造用合板の製造試験を行なった。製造試験は,単板製造の最大の難関である単板切削工程と乾燥工程を中心に検討した。単板切削工程では単板歩留りは70%以上を得ることができた。乾燥工程は,自動制御型のドライヤーを使用し,暴れ現象を減少させ,仕上がり含水率8%程度の単板を製造することができた。強度試験はJAS2級に準じて行った,合格率は100%であった。このことから,スギ材の利用が十分可能と判断された。今後の課題としては,スギ材の素材生産・集荷体制の整備が必要と考えられる。また,スギ材価格は,競合する外材との価格差解消のための何等かの政策が必要と考えられる。
  • 田口 標, 岩井 吉彌, 高柳 敦, 松下 幸司
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    本研究では,オーストリアの農家民宿26軒に対する聞き取り調査に基づき,農家民宿において民宿業と農林業がどのように関わっているかを分析した。その結果,多くの農家民宿では農林業と民宿業の両者が密接に関わっていることが明らかになった。多くの農家民宿では,農林業を営むことにより,食材,用材,燃材など生活に必要な物資のかなりの部分を自家調達している。そして,家屋の改築や改修なども,できる範囲は家族労働で行っている。これらの農家はとくに食・住の面において,いわば生活の「自給度」あるいは「完結性」が高く,それにより民宿業を営む上でのコストの低減を可能にしていると考えられる。農林業と民宿業の関わりは食材,用材,燃材といった物資の面だけでなく,担い手の面においても重要である。多くの農家は複数世代で構成されている家族により運営され,家族の構成員のほとんどが両方のビジネスに携わっている。農家民宿の経営は,農林業を基盤とした家族経営による「自給度」の高い農家の生活のなかで成り立っているケースが多いと考えられる。
  • 岩松 文代
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    近年では山村の地域文化は継承が困難になっており,保存のためには何らかの施策が必要である。本研究では,行政施策として伝統的建造物群保存地区の指定を事例とした。指定を受けるには地元の合意形成が必要であるため,山村集落の対応を視点におき,集落の社会背景と住民意識,住民による合意形成への働きかけを調査し,文化保存の施策の導入をめぐる,山村集落での合意形成の行われ方について考察を行うことを目的とした。結果として,指定に対する住民の賛否意識には,当施策に対する平等・公平性の認識,関連する村づくり活動の有無,集落の現状に対する危機意識等が関係し,集落の社会背景が影響していることが分かった。このような住民意識の元で指定への合意形成を導いた集落では,指定に賛成する住民が多く,彼らが強い意思を持ち,頻繁な話し合いや反対者への説得を行った。さらに,全員合意のために,茅葺き屋根の保存だけでなく他の物件も含め集落全域が対象となることの重要性や,新たな村づくりの開始によって住民全員に利益享受の可能性があることを説得材料としたことが合意形成の要因であることが分かった。
  • 伊藤 敬子, 松下 幸司
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    林業労働力の不足と高齢化問題が指摘されるようになってから久しい。次代の林業界の担い手として,学校で培った専門的知識や経験を活かすことのできる若年労働者の存在とその動向は特に注目される。そこで本研究では,将来このような若年労働力の中心的存在として期待される林業系高校生に注目し,林業関連職への就業意思について,アンケート調査によって明らかにするとともに,ロジットモデルを用いた分析を行うことによって,就業意思の形成にはどのような森林・林業認識が影響を与えているかについて明らかにすることとした。この結果林業系高校生は,森林の木材生産や公益的機能を発揮させるためには人工林よりも天然林が好ましいと考える傾向にあること,林業就業意思は4割以上の生徒がもっていることがわかった。また就業意思は,林業にやりがいや社会への必要性を感じられるかどうか,高校への入学理由などの影響を密接に受けて形成されていることがわかった。
  • 赤谷 拓和, 岩井 吉彌
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    熊本県.緑川流域では,市民団体「天明水の会」によって自然体験,環境教育,環境保全活動等が行われ,多くの地域住民が参加している。本研究では天明水の会について,資料収集,聞き取り調査を行って,水の会の活動を分析した上で,住民と環境を結びつける取り組みについて考察した。天明水の会は,1992年,地域づくりとしての豊かな水環境の再生を目的に設立された。主な事業は,地域内や上流の小・中学生向けのカヌー教室,国有林との分収造林契約による「漁民の森」,「子供の森」,「有明の森」の植樹,さらに,流域におけるその他の団体と連携しての河川一斉清掃,青空市場,流域交流会等である。また,その活動は,活動自体の楽しみに加えて,それぞれの活動後のバーベキュー,懇親会といった遊びの部分が多く盛り込まれ,これも参加者に対する大きな誘因となっている。水の会の活動は,地域住民にとって共通の関心である「子供」と「自然」を媒介にて地域社会に働きかけることによって,子供から更には親も地域環境に関心を持つようになり,結果として地域環境に好影響を与える,という仕組みを持っていると考えられる。さらに,環境保全活動を地域に拡大していくための大きな原動力ともなっている。
  • 黒川 泰亨, 樽谷 明日香
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    森林に対する社会的要求が多様化するに従って複数の森林に関する機能をいっそう調和的に発揮させることが要請される。森林の整備に関する目標等を設定する場合,森林の社会的評価や要求を事前に把握しておく必要があるが,一般に,社会的評価や要求は森林の発揮する機能の物理量に対する人間の心理的評価に起因すると考えられる。本研究では,鳥取県日野川流域の上下流の住民を対象として,森林の持つ水源涵養機能,山地災害防止機能,保健文化機能,生活環境保全機能などに関して一対比較によるアンケート調査を実施し,AHP法によって森林の機能に関する評価についての意識構造を把握した。さらに,調査対象を年齢別,男女別,地域別,職業別等にグルーピングし,グループ毎に比較すると,森林の機能に対する意識構造に顕著な差異が認められた。これらの結果は,森林の整備に関する目標の設定や森林の維持管理に関する費用の負担問題などを考える場合に有益な示唆を与えるものと思われる。
  • 西 政敏, 石橋 公雄, 小谷 英司, 松村 直人
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    島根半島弥山山地約6,300haの146小班を対象に,GISによって森林植生と空間分布の解析を行った50mメッシュデータをGIS上で利用することによって対象地の小班ごとに面積,標高,傾斜および到達距離のデータベースを作成した。また,8タイプに分類した植生図をこのシステム上に作成した。各々の森林植生タイプの分布要因を標高,傾斜,および海岸線または河川・渓流からの到達距離として分析した。標高と傾斜別に各森林植生タイプの面積割合をみると,いずれも50%以上がマツ類で占められていた。河川・渓流からの平均到達距離はスギ・ヒノキの人工林が他の森林植生タイプに比べ小さかった。海岸線からの平均到達距離は森林植生タイプの中でも海岸クロマツ林と海岸落葉広葉樹林がきわめて小さかった。さらに,植生帯の特徴に従って,対象地内に鳥獣保護地帯,人工林地帯,海岸林地帯の3地域を設定した。これら3つの森林地帯について,グループ内での小班の空間分布の評価指標として森林植生タイプの多様性指数や均質度を検討した。鳥獣保護地帯と海岸林地帯の多様性指数は人工林地帯の1.47より低かった。人工林地帯と海岸林地帯の均質度は鳥獣保護地帯の0.85より低かった。
  • 大園 享司, 武田 博清
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    ブナの優占する冷温帯天然林の鉱質土壌における微小菌類相を平板希釈法により調査した。試料は長さ約200mの斜面のモダー型(上部)とムル型土壌(下部)より採取した。乾燥土壌1gあたりの菌類コロニー数(CFU)と出現種数(S)は,モダー型,ムル型土壌でそれぞれ47.8×10^4, 23.1×10^4,および20, 23であった。土壌微小菌類相のSimpsonの多様度指数(D)はそれぞれ5.2, 9.7であった.分離された142菌株は37種に分類された。モダー型の土壌ではAspergillus kanagawensisとAcremonium sp.が優占しており,ムル型ではAcremonium sp., Penicillium velutinum, Trichoderma koningiiが優占していた。T. koningii を除く優占種は分解初期段階のブナ落葉からほとんど出現しなかった。
  • バッタ バルラム, 武田 博清, 徳地 直子
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    滋賀県田上山のクロマツ植栽林において,土壌の窒素濃度が分解および養分循環に及ぼす影響をリタ-バッグ法を用いて調査した。3種類の土壌の異なる窒素条件は,リターバッグをそれぞれリター層上(タイプH),リター層除去によるA層上(タイプM),リター層およびA層除去によるB層上(タイプL)に置くことによって得た。土壌の窒素濃度はそれぞれの0.87±0.31,0.13±0.03,0.05±0.02%であった。リターバッグは1998年6月から1999年4月まで2ケ月ごとに回収した。リターの分解速度は,タイプHでk=0.52,タイプMでk=0.48,タイプLでk=0.43であり,3つのタイプ間で異なっていた。炭素,ナトリウム,マグネシウムの重量変化は針葉と同様に分解に伴う減少傾向を示したが,窒素およびリンは濃度と重量の両方で分解に伴う上昇がみられた。カルシウムは濃度と重量の両方で初期には上昇したが,後期にはいって減少し,カリウムは濃度と重量の両方で初期溶脱がみられ,その後不動化がみられた。最も高い窒素濃度をもつタイプHでは外部起源の窒素の高い不動化がみられた。最も低い窒素濃度をもつタイプLでは,不動化は最も低く,重量は減少した。中間の窒素濃度をもつタイプMではタイプHとタイプLの中間の不動化量と重量減少を示した。
  • 陳 英敏, 山中 典和, 玉井 重信
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    本研究は砂質土壌において,水分制限条件下で混植された生活型の異なる樹木の成長及び水分・養分動態を明らかにするため,常緑広葉樹であるタブノキ(Machilus thunbergii)と落葉樹であるコナラ(Quercus serrata)を水分条件の異なる2処理区(4mm/日,2mm/日)に混植した。水分条件の違いにより,樹高伸長,地際直径(D_5)成長及び現存量に顕著な差が現れ,両樹種ともに2mm区より4mm区でそれぞれ大きな値を示した。また,深根性の樹種コナラは,地下部現存量の比率及び単位面積当たりの養分量はともに浅根性のタブノキより大きかった。生活型の異なる両樹種間では各器官の養分含有率が違うことが明らかとなった。同一樹種の場合,N,P,Kの養分含有率及び各器官への養分配分には2処理区間で明らかな差はみられなかった。
  • 山中 典和, 桐林 真人, 玉井 重信
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    鳥取県西伯町のブナ二次林に20m×20mの調査区を2つ設け,一方を施肥を行う処理区,他方を対照区とし,施肥がブナ実生の動態に及ぼす影響に関して検討した。施肥の前年(1995)はブナの豊作年であり,平均で処理区が616個/m^2,対照区が567.6個/m^2であり,両者の間に有意差は見られなかった。施肥後,処理区に発生した実生数は7.4本/m^2,対照区は7.2本/m^2で,両者に有意差は認められなかった。健全落下種子数に対する割合も処理区で1.20%,対照区は1.27%となり,ほとんど違いはみられなかった。実生の枯死率に関しても処理区で94.5%,対照区では95.6%となり差はみられなかった。両区とも病害による実生枯死が最も多かったが,対照区よりも処理区で病害による枯死がより多くみられた。施肥により土壌微生物の働きが活性化し,それが被陰下に成育する実生の枯死に影響を及ぼしたものと思われた。
  • 田中 誠司, 秋好 勉, 塔本 友基, 白石 秀知, 安藤 達夫, 中尾 嘉治, 松井 正和
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 95-99
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    北山杉の色むらとは,北山丸太の主力製品である磨丸太の表面に色の差が生じる状態をいう。近年,スギ磨丸太製品市場において,色むら丸太は商品価値を低下させることが顕在化したため,平成8年から色むら被害の調査・研究を始めた。厳しい経営環境にある北山林業において,高品質材の生産を維持するため,いかに工夫すべきであるかが林業家に求められている。こうした現状にあって,色むら被害を予防する育林・加工技術を明らかにすることを目的に以下の調査を進めた。すなわち,(1)色むら被害の発生原因調査,(2)生産者へのアンケート調査,(3)色むら発生の再現試験,(4)伐採時期別による色むらの発現度調査である。その結果,色むらの実態が概ね把握でき,i)色むらの発生は,辺材表層の形成層の活動が部分的に停止していない状態で伐採した材に多いこと,ii)伐採時期が同じ場合,成長の旺盛な木ほど色むらが発生しやすいこと,などが判明した。
  • 田中 誠司, 白石 秀知, 安藤 達夫, 西田 謹二, 山下 香菜, 近藤 聡, 井田 亜紀子
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 101-106
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    北山杉 色むら被害の調査.研究(I)の成果をもとに,被害を予防する育林・加工技術を林業家とともに検討した。(1)伝統的な「枝締め」作業の再評価による成長抑制手法の検証,(2)気象や樹木の成長に注意した伐採適期の判定,(3)磨丸太加工工程,特に「磨き」などの伝統的な手作業の再評価。このうち,育林技術に関する2つの課題について次の調査を行った。(1)北山杉の肥大成長を抑制する試験,ア枝締め法,イ環状剣皮法,ウ番線による締め付け法,(2)伐採適期を予測するため「傷つけ法」による肥大成長の観察。その結果,供試本数は少ないものの,番線による締め付け法と枝締め法は予防対策に効果が期待できる手法であることが明らかになった。また,肥大成長を細胞レベルで観察することで伐採適期を客観的に評価できることが可能になった。今後,スギの成長停止時期と気温等の気象因子との関係を詳細に明らかにすることで,伐採適期の予測の精度が高まることが期待できる。
  • 倉本 惠生, 酒井 敦, 酒井 武, 田淵 隆一
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    四国西南部,四万十川流域において,暖温帯性針広混交林のリターフォールの季節変化と年間リターフォール量を調べた。1997年12月から1998年11月までのリターフォール量には明瞭な季節変化がみられ,1月,5月,および10-11月にピークがみられた。組成別にみると,広葉では,5月と9月に落下が集中し,枝と樹皮は10月の集中落下と1月の小ピークが観察された。その他の細片の落下は10-11月に激増しており,そのほとんどが針葉であった。年間リターフォール量は,3.94ton・ha^<-1>であり,うち33.5%が広葉で占められていた。また, 16.9, 6.0および43.6%は,それぞれ,枝,樹皮,および,その他の細片で占められていた。広葉のリターフォール量は,尾根部より斜面部で多く,針葉では逆に,尾根部で斜面部よりも多かった。これらの違いは,地形に対応した上木樹種組成の違いを反映していると考えられる。
  • 金澤 洋一, 上村 真由子, 松浦 陽次郎
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 113-116
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    トドマツの施肥・無施肥両杯分の成長記録をもとに,胸高断面積成長経過を相対成長率で調べたところ,施肥林分は無施肥林分よりも初期の成長率が高かった。しかし両林分ともに成長率は時間とともに急速に減少した。この成長率の変化を密度管理図のパラメータを組み込んだロジスティック式で検討したところ,断面積成長には成長係数だけが異なるロジスティック曲線をあてはめることができた。したがって,両杯分の初期の成長差は成長係数の差によると考えられた。また最多密度線との検討から相対成長率の減少は密度効果によるものと推察された。初期の施肥効果は成長とともに密度効果に覆い隠されたと考えられた。
  • 阿部 剛俊
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 117-119
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    用材として期待されるケグワの初期保育法を研究しているが,その中で形質的に優れたクローンを増殖するために無性増殖試験を行った。養蚕用のクワで確立されている既存の挿し木法を用いて増殖を試みたが発根活着が見られなかった。次にケグワの根を台木とする接木による増殖を試みた。1999年3月に2芽残した約10cmの当年枝を100本調整し,パラフィン処理後3℃で保存した。掘り起こした根を約15cmに調整し,培地に挿し付けて台木とした。1999年4月に割り接ぎを行った1999年8月に活着状況,発根状況,接穂径,台木の地際径を調査した。接穂直径は4.2-7.9mm,台木地際径は4.0-17.0mmであり,活着率は78%であった。活着個体の96%に新たな発根が確認された。穂木・台木の太さと活着の間に関係は認められなかった。
  • 上田 明良, 藤田 和幸, 浦野 忠久
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 121-125
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    α-ピネン,α-ピネン+エタノール,-β-ピネン,-β-ピネン+エタノール,エタノールおよび蒸留水を用いた誘引トラップで,甲虫類を捕獲した。捕獲数順位に有意差があった13種をみたところ,マツ類の内樹皮食者4種のうちの3種とマツ類に特化した捕食者2種ではピネン類が誘引物質で,エタノールが協力剤として働いていた。マツ類に特化していない捕食者2種と養菌キクイムシを含む菌食者5種ではエタノールが誘引物質で,これらはピネン類に影響されない3種とピネン類によってエタノールの誘引効果が下げられる4種があった。
  • 井上 牧雄, 西垣 眞太郎, 西 信介
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    鳥取県東部に発生したナラ類集団枯損地域で,1995年から1998年までコナラとミズナラに対するカシノナガキクイムシの穿入状況を調べた。穿入は特定の個体に,短期間に集中した。また,穿入された寄主で,穿入密度が高かったものは再度穿入されることはなかったが,穿入密度が低かった寄主では穿人はさらに1〜2年継続した。これらのことから,カシノナガキクイムシは穿入によって寄主の質を低下させ,そのことによって繁殖力が低下し,大発生は数年のうちに終了すると推測した。
  • 小林 正秀, 萩田 実
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 133-140
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    京都府北部の5林分で,コナラとミズナラの枯損状況を調査したところ,コナラよりミズナラの枯損率が高く,枯損率は最初の被害が発生して3年目頃に最大となった。エタノールを用いた誘引トラップでカシノナガキクイムシを捕獲したところ,捕獲数も被害発生3年目頃に最大となった。しかし,本種はエタノールにはほとんど定位しないことが,α-ピネンや誘引剤なしのトラップ及び障壁トラップとの比較で判明した。ナラ樹に粘着トラップを巻き付けて捕獲したところ,飛翔は6月上旬〜10月下旬にみられ,飛翔時間は午前5時〜11時で,飛翔高度は0.5〜2.0mに多いことがわかった。さらに,前年に穿孔を受けたナラ樹に羽化トラップを被覆して調査したところ,羽化時期は6月上旬〜10月上旬であること,枯死木からの羽化は多いが,健全木からは少ないことがわかった。また,枯死木1m^3当りの羽化数は約3万頭で,1穿孔当りでは約20頭であった。割材調査では,枯死木1m^3当りの羽化数は約5万頭で,1穿孔当りでは約13頭であった。また,すべてのトラップ調査においで性比は雄に偏っていた。
  • 山崎 聡, 藤掛 一郎
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 141-144
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    高知県が1993年から行った「ふるさと定住促進モデル事業」では,県内12の町村が若者向けの定住住宅の建設を計画,実行している。これらの住宅は,永住を目的としたものではなく,一時的に流出を食い止めることや,定住のきっかけを作るのが役割である。本研究では,これら若者定住住宅は,はたして若者の定住促進に効果をあげたのか,またその問題点はどこなのかを明らかにし,さらなる若者定住に向けての方針,方向性を考える上での一つの基礎資料となるものを導き出すことを目的とする。高知県内で若者定住住宅を建設した町村のうち,特に若者夫婦を対象としている6町村を選び,各役場の協力を得て,それぞれの住宅の入居者にアンケートを実施,その結果を分析した。アンケートは106通を配布し,44通を回収した。うち,独身の2世帯を除く42世帯について分析を行った。世帯主はほとんどが当該町村内出身者であり20〜30歳代が85%を占めていた。そのうち18世帯に定住の意思が感じられ,こうした住宅は,地域の若年層の流出防止に役立っていると考えられる。定住するか否かという意思決定には,親の存在が影響を与えることが示唆された。
  • 藤田 亮, 池本 省吾
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 145-147
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 乾 雅晴
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 149-151
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 酒井 武, 田淵 隆一, 倉本 惠生, 大黒 正, 酒井 敦
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 153-154
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 石川 実, 中岡 圭一, 田淵 隆一, 酒井 武, 倉本 惠生, 稲垣 善之
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 155-158
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 前田 雅量
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 159-162
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 周藤 靖雄
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 163-164
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 東 敏生, 菅 雄三
    原稿種別: 本文
    2000 年 9 巻 1 号 p. 165-168
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 169-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 170-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 171-172
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 173-174
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 175-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 176-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 177-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 178-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 178-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 178-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2000 年 9 巻 1 号 p. 186-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2000 年 9 巻 1 号 p. Toc2-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2000 年 9 巻 1 号 p. Cover3-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2000 年 9 巻 1 号 p. Cover4-
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2018/01/16
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