アプライド・セラピューティクス
Online ISSN : 2432-9185
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地域包括ケアにおける薬局・薬剤師の役割
平成30 年度調剤報酬改定を踏まえて
狭間 研至
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2019 年 11 巻 p. 29-36

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抄録

2013 年に厚生労働省から示された「地域包括ケアシステム」という概念は超高齢社会となった我が国で、安心して過ごせる社会を作るためには不可欠だ。ただ、この枠組みの中で薬剤師は何をするのかということには議論がある。地域包括ケアにおいては医療の「ことがら」のほとんどは薬物治療が占める。高齢化に伴い複雑化する薬物治療支援のニーズが飛躍的に拡大するなかで、薬物治療の個別最適化が極めて重要であることを考えれば薬局・薬剤師が果たす役割は、入院、外来、在宅など全ての場面で重要になるはずだ。しかし、処方箋調剤業務を機械的にこなす「モノ」と「情報」の専門家としての従来の薬剤師であれば、機械化の進展、ICTの普及によりその重要性は相対的に低下する。一方、薬剤師が、薬を患者さんに渡すまでの仕事から、薬を服用した後の患者さんをフォローすることで前回処方の妥当性を薬学的に評価し、次回の処方内容の適正化につなげるという医師との協働した薬物治療を行う仕事にシフトすることで状況は一変する。このことは、薬を渡すまでとは対物業務、飲んだあとまでフォローするというのは対人業務であることを考えれば、「患者のための薬局ビジョン」に示された、「対物から対人へ」という方向性にも一致する。今後、多くの薬局・薬剤師が地域包括ケアシステムで活躍するようになるには、薬剤師の患者をアセスメントするための知識・技能・態度、薬剤師の患者を診るための時間・気力・体力とともに、調剤報酬の抜本的な改革が必要であると思われる。

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© 2019 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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