2019 年 11 巻 p. 46-51
日本におけるアカデミック・ディテーリングは、公正中立な基礎を臨床につなぐ科学的視点に焦点を当て、医薬品比較情報を能動的に発信する新たな医薬品情報提供アプローチと位置づけ、アカデミック・ディテーラーの使命は医師の処方に影響を与え、処方を最適化することにあるとした。そして、薬剤師の専門性を確立する導入教育体制作りに寄与すべく、アカデミック・ディテーリング教育プログラムを開発した。教育プログラムは、4年前期選択授業「アカデミック・ディテーリング基礎演習」として、基礎薬学と臨床薬学の教員が協働して授業を行い、教育のねらいとして、「化学、薬理、薬物動態、ゲノムなどの薬学的視点から、医薬品の使い分けポイントをわかりやすく発表ができる」とした。ルーブリック評価の評価視点は「アカデミック・ディテーリングの理解」、「病態の理解と薬理学的視点での医薬品選択」、「薬物動態の観点からの医薬品選択」、「化学構造式の観点からの臨床活用」とした。学生からは、薬理学、化学、薬物動態学等これまでに習った知識がどのように患者に活かすかが分かったという意見がある一方で、ディスカッションと講義の時間のバランスに更なる検討が必要と考えられた。卒後研修としてもアカデミック・ディテーラー養成プログラムを開始しており、今後はアカデミック・ディテーリング教育が多くの薬学部で始まることを期待する。