2019 年 11 巻 p. 52-59
在宅患者のケアプランにおいて疾患の具体的な維持・管理目標(検査値・バイタルサイン等)(以下:維持・管理目標)が示されず、単に「処方された薬を確実に服用すること」が目標となっていることがある。この場合、患者の疾患の維持・管理目標が不明瞭であり、多職種で目指す治療の達成目標が曖昧なケアプランが実施されることになる。したがって、利用者に対して多職種連携を通じた適切な疾患治療を提供する上でもケアプランに具体的な維持・管理目標を明記することは重要である。そこでケアマネジャーがケアプランを作成する際に、医師から具体的な治療の維持・管理目標が提供され、どの程度の割合で記載しているのかを調査した。 ケアプラン作成時の患者の具体的な管理目標の記載について調査した結果、医師の指示もしくは患者の状況に合わせて記載している割合の合計は43%で、具体的な管理目標を「記載していない」と回答した割合は55%であった。循環器疾患、糖尿病、腎機能低下、痛みに関するケアプランの約4〜6割において患者の具体的な治療の維持・管理目標が医師から指示されていなかった。ケアマネジャーからの維持・管理目標に関する医師への照会に対して回答のない理由のひとつに「医師の多忙さ」があった。しかし、この照会内容は薬剤師からの医師への問い合わせにより解決可能な内容が多く含まれており、薬剤師がケアプラン作成へ積極的に関与することが望まれる。