アプライド・セラピューティクス
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ラコサミドによる発作性心房細動及び徐脈頻脈症候群が疑われた一症例とTDMの活用
相原 史子 蓑毛 翔吾
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2021 年 16 巻 p. 44-52

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抄録

ラコサミド (lacosamide: LCM)は、電位依存性Naチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進することにより過興奮状態にある神経細胞膜を安定化させる抗けいれん薬である。治療濃度域が確立されていないとされ、TDM(Therapeutic Drug Monitoring)の施行は一般的ではない。今回、LCM 300 mg/dayで投与中、てんかん発作による意識障害を主訴に救急搬送された61歳代男性の治療経過中に、発作性心房細動・徐脈頻脈症候群が出現し、病棟担当薬剤師が血漿中LCM濃度測定を提案、結果を薬物動態の特徴から解析・報告した症例を経験したので報告する。LCMは血漿中濃度上昇に伴い有害事象の発現頻度が増加することから、腎機能低下が認められる症例には、予測されるクリアランスの低下を基にした用量調節や、血漿中濃度測定結果を基にした評価が必要である。血漿中濃度の参考値として、臨床試験結果の活用が可能である。有効性と忍容性が確認できた個々のLCM血漿中濃度の把握は、薬物動態変化時の用量調節に有用と考えられることから、積極的なTDMの活用が望まれる。

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© 2021 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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