失語症研究
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語義失語と priming
—潜在記憶と顕在記憶の観点から—
池田 学田辺 敬貴橋本 衛森 悦朗
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1995 年 15 巻 3 号 p. 235-241

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抄録

語義失語を呈する Pick 病では,あらかじめ刺激を提示し無意識裡にそれを取り出すというプライミングの手法を用いても,単語完成ならびに諺完成課題におけるプライミングが障害されていて,意味を担う一単位としての音のならび (lexicon) が諺であれ語であれ無意識的にさえ取り出せないことを示した。一方, Alzheimer 病や非語義失語 Pick 病群では言葉や諺の意味は答えられないにもかかわらず(semantic systemの障害) ,プライミングは保存されていた(lexiconの保存) 。このことは,語義失語を呈するPick病例では, lexicon,たとえば e・n・pi・tsu といった語音のならびそのものが崩壊していて,この点が進行期のAlzheimer病や非語義失語 Pick 病例の呈する意味記憶障害とは異なるものと考えられた。

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© 1995 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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