失語症研究
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原著
右半球言語優位てんかん患者の神経心理学的検討
船越 昭宏井上 有史
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1999 年 19 巻 2 号 p. 101-106

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抄録

てんかん外科の術前検索として 430名に内頸動脈アミタールテストが行われ,46名 (10%) で右半球言語優位が確認された。この 46患者について,てんかん焦点の側方性,脳損傷の既往,利き手,左利きの家族負因,神経心理検査成績との関係を検討した。てんかん焦点側は,左側 27名,右側 14名,両側もしくは側性化困難が 5名であり,左側焦点が多く,左脳から右脳へ言語機能の優位性が変化したと考えられる症例が多かった。右側焦点であっても,ほとんどの症例で出生後早期の脳損傷が確認されており,二次的に言語優位性が変化したと考えられる症例が多かった。利き手は,右利き 24名,非右利き 22名であり,一般に比べて非右利きが多かった。一方,左利き家族負因は右優位の出現と関係しなかった。神経心理検査成績では,言語・記憶検査の成績が,右側焦点例に比べて左側焦点例で低く,言語優位性の変化に伴う高次機能への影響が左側焦点例で大きいことが示唆された。

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© 1999 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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