抄録
前頭葉の血管性病変によって模倣行為を呈した7症例について,症候ならびに病巣を検討し,病態について考察した。これらの模倣行為はその症候学的特徴から2群に大別された。すなわち,模倣行為が両上肢またはさらに広範な身体部位にみられ,抑制はみられず,患者自身の意志の関与が考えられる一群 (A群 ; 4例) と,視覚刺激によって右上肢のみに出現し,左手による抑制がみられ,自己の意志に反した強迫的行為と考えられる一群 (B群 ; 3例) である。さらにA群では,注意障害を伴うと,誘発刺激の種類,発現する身体部位および行為内容が広範となる傾向が認められた。自験例の病巣検討からは,前頭葉病変による模倣行為の責任病巣として前部帯状回が重要と考えられた。前部帯状回は外界からの感覚刺激に対して頭頂葉・運動前野の活動を制御する機能を持つと推定され,さらに前部帯状回の前部と中・後部とではその働きが異なる可能性が示唆された。