小児の言語障害は,発達性の障害から後天性の障害まで多岐にわたっている。器質的な脳損傷小児例では,これまで考えられていたよりも成人の失語症に類似する症状を呈するという発表には賛意を表するが,高度の脳波異常を呈する小児では,言語症状以外の高次脳機能障害も出現しうることを追加したい。
言語性意味理解障害を呈する発達障害児を,疾患としてどのように位置づけするのか,アスペルガー症候群との異同を含めた議論については,その答えを症例の蓄積と長期的な追跡観察に期待したい。
dyslexiaの発生機序については,phonological awarenessの障害以外に,視覚情報処理過程にも問題があるという発表は,全面的に支持したい。症例によって両者の比重に差があることを踏まえた治療法の体系化が必要であろう。
学習障害の教育的判断と対処の試みが全国的に進行していることは,歓迎すべきであり,これをきっかけとして,発達障害児全般に対する個別教育計画の作成が,言語聴覚士などの支援を得ながら進展することが期待される。