防潮堤の存在が、沿岸地域の住民の津波に対するリスク認知や避難行動に影響するかを実証的に明らかにするため、静岡県沼津市静浦の防潮堤がある地区とない地区の住民を対象として、防災意識や避難行動などに関するアンケート調査を行ない、311名のデータを比較分析した。その結果、防潮堤がある地区でも津波に対する危機意識は高いものの、ない地区に比べて非常に危険と考える程度は低くなっており、実際の津波時の避難率が低いこと、避難が必要と思う津波高が高いこと、ハザードマップを詳しく見た人や避難場所を決めている人が少ないことなどに有意な違いがみられた。このことから、防潮堤が、津波に対する浸水リスク認知や備え、避難行動に一定の影響を及ぼしていることが明らかとなった。