失語症研究
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シンポジウム
小児の後天性高次脳機能障害
進藤 美津子
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2002 年 22 巻 2 号 p. 114-121

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抄録

小児の後天性高次脳機能障害によるコミュニケーション障害として,後天性小児失語症 (以下,小児失語症) および,両側聴皮質損傷による聴覚失認,Landau-Kleffner症候群 (LKS) による聴覚失認を取り上げる。従来より小児失語症は,成人の失語症と比べて予後が良好であるといわれてきた。しかし最近では,小児失語症の臨床像は成人のそれと類似していることが報告されており,失語症児の認知過程や言語面・学習面のつまずきが新たに注目されるようになった。両側聴皮質損傷による聴覚失認では聴覚認知の発達が困難なため,身振りや手話・指文字などのサイン言語や文字など視覚を介しての学習が必要となる。LKSでは3~8歳までの発症が8割を占め,通常は聴覚的理解障害で始まり,しだいに言語表出の障害が進行する。数年の経過で言語症状や聴覚理解は改善の傾向がみられるなどが特徴である。いずれにしても小児では長期経過をみながらの学習指導が必要である。

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© 2002 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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